企業のDXに向けて、業務現場でアプリケーション開発を可能にするノーコード開発ツールが注目されている。ServiceNowが提供する新サービスから、企業が同ツールを導入する際のポイントを探りたい。
「当社のサービスについて知らなくても、『Microsoft Excel』を使えるなら簡単にアプリケーションを作れる」
ServiceNow Japanの高橋卓也氏(マーケティング本部プロダクトマーケティング部 部長)は、同社が2021年3月12日に開いた新サービス群の記者説明会で、今回の発表の目玉であるノーコードアプリケーション開発ツールについてこう強調した。
ノーコードアプリケーション開発ツールは、企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する際、業務現場でアプリケーションの開発を可能にするものとして注目されている。ただ、高橋氏によると、企業が同様のツールを導入する際には重要なポイントがあるというので、今回はそれを探ってみたい。
まずは、その大事なポイントにも深く関わる新サービス群の全体について説明しよう。ServiceNowは米国時間2021年3月11日、同社のPaaS(Platform as a Service)型サービス「Now Platform」の最新バージョン「Quebec(ケベック)」に伴う新サービスや既存サービスの機能強化を発表した。その数は「数百に及ぶ」(高橋氏)という。日本法人の会見はこれを受けて行われた。
図1は、これまで2年余りにわたるPaaSのバージョンアップのタイミング(およそ半年ごと)と、それぞれの目指す姿を示したものだ。同社ではバージョンアップしたPaaSにABC順で世界の都市名を付けており、今回はQuebecとなった。目指す姿は「21世紀の企業を支える“プラットフォームのためのプラットフォーム”」だ。
これまでNow Platformは、IT部門と顧客、従業員の3者のワークフローに応じたSaaS(Software as a Service)を提供してきた。今回のQuebecは、図2に示すように、アプリケーション開発環境に対応した「Creator Workflows」を追加した。
Quebecの変化を踏まえ、企業のIT環境におけるServiceNowのサービスの活用イメージを描いたのが図3だ。この図の最大の注目点は、中央のNow Platformが下段に記されている各業務のシステムと連携し、横断するワークフローを提供できる点だ。
業務のシステムには、業務ごとにさまざまなベンダーのソフトウェアやサービスを使用しているケースもある。Now Platformはこれらを「ラッピング」するような形で全ての業務をつなげ、全てのデータも柔軟に利用できるようにしている。
こうしたことから、ServiceNowはNow Platformを「Platform of Platforms」と位置付けられている。ちなみに、図3は以前から同社のサービス概要として使われているが、今回からCreator Workflowsの領域が新たに加わった。
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