データドリブンな組織に必要な人材やデータの在り方を探ってきた本連載、最終回は組織の「要」とも呼べるCDO(最高データ責任者)を取り上げる。彼らに求められる資質や果たすべき役割とは何か。日本におけるCDOの活動を支えるキーパーソンに聞いた。
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データドリブンな体制を目指す企業にとって、データ活用をビジネス戦略につなげられる司令塔の存在は不可欠だ。今回は、その筆頭ともいえるCDO(最高データ責任者:Chief Data Officer)の役割について掘り下げる。
連載「ゼロから作るデータドリブン組織への道」最終回である今回は、日本のCDOを取り巻く課題や今後の展望、求められる能力などについて、CDO Club Japanの水上 晃氏(理事・運営事務総長)に、クリックテック・ジャパンの槙野匡昭氏(営業本部本部長)が話を聞いた。
槙野氏(以下敬称略): 昨今、デジタルトランスフォーメーション(DX)の中核として「データ活用」が注目されており、その推進役としてのCDOの必要性が高まっています。本日はこの辺りのお話を伺いたいのですが、まずはCDO Club Japanの活動内容について教えてください。
水上(以下敬称略): CDO Club Japanは米国発祥の組織CDO Clubの日本における窓口です。CDO Clubは2010年くらいから活動を始めました。データ活用が普及し、企業でCDOに任命される人の数が今急速に増えています。CDO Clubは、CDOという役職の方々、その役職と同じ役割を担う方々、将来CDOになりたいと思っている方々が中心となり、情報交換をする世界初の経営者向けコミュニティーです。
槙野: 「CDO」と聞くと、最高データ責任者(Chief Data Officer)と最高デジタル責任者(Chief Digital Officer)の両方を思い浮かべる読者もいると思います。この2つの違いは端的に言って何でしょうか。
水上: 最高デジタル責任者は、企業のビジネスモデルをデジタル化する責任者です。一方最高データ責任者は、データをコアにして企業に変革を起こす際、データのサイロ化といった課題を発生させないようにする「データの番人」で、データから価値を生み出す環境を整える役割を担います。
槙野: CDO Clubが発足した当初と今では、CDOを取り巻く環境が大きく異なるのではないでしょうか。
水上: CDO Club Japanの活動は2017年からです。当時は3人のCDOによる勉強会から始まりましたが、現在会員は100人を超えています。企業を対象とした調査でも、CDOはいなくても「デジタル」という言葉が付く役職を置く組織が1割を超えました。海外はCDOが既に6割の企業で設置されているとの見方もありまだまだ遅れていますが、日本もようやく動き出しています。
槙野: 日本でCDOを担う人がまだ少ないのはなぜでしょうか。
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