ローコード/ノーコードの致命的弱点「不真面目」DXのすすめ

ローコード/ノーコードツールを使う企業が増えています。コーディングの知識がなくてもアプリを開発できるという、一見良いこと尽くしに見えるこのツールには「致命的弱点がある」と筆者は考えています。だからと言って、もちろん悪い点だけではないローコード/ノーコードツールで成果を出すために押さえるべきポイントとは。

» 2022年07月22日 08時00分 公開
[甲元宏明株式会社アイ・ティ・アール]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

この連載について

 この連載では、ITRの甲元宏明氏(プリンシパル・アナリスト)が企業経営者やITリーダー、IT部門の皆さんに向けて「不真面目」DXをお勧めします。

 「不真面目なんてけしからん」と、「戻る」ボタンを押さないでください。

 これまでの思考を疑い、必要であればひっくり返したり、これまでの実績や定説よりも時には直感を信じて新しいテクノロジーを導入したり――。独自性のある新しいサービスやイノベーションを生み出してきたのは、日本社会では推奨されてこなかったこうした「不真面目さ」ではないでしょうか。

 変革(トランスフォーメーション)に日々真面目に取り組む皆さんも、このコラムを読む時間は「不真面目」にDXをとらえなおしてみませんか。今よりさらに柔軟な思考にトランスフォーメーションするための一つの助けになるかもしれません。

筆者紹介:甲元 宏明(アイ・ティ・アール プリンシパル・アナリスト)

三菱マテリアルでモデリング/アジャイル開発によるサプライチェーン改革やCRM・eコマースなどのシステム開発、ネットワーク再構築、グループ全体のIT戦略立案を主導。欧州企業との合弁事業ではグローバルIT責任者として欧州や北米、アジアのITを統括し、IT戦略立案・ERP展開を実施。2007年より現職。クラウド・コンピューティング、ネットワーク、ITアーキテクチャ、アジャイル開発/DevOps、開発言語/フレームワーク、OSSなどを担当し、ソリューション選定、再構築、導入などのプロジェクトを手がける。ユーザー企業のITアーキテクチャ設計や、ITベンダーの事業戦略などのコンサルティングの実績も豊富。

 誰でも簡単にアプリケーション開発ができるとうたわれているローコード/ノーコードツール(以降、「ローコード」と略します)が盛り上がっています。筆者が所属するITRの調査では市場成長率はクラウドよりも高い数値を示しています。今やローコードを全く使っていない国内企業を探す方が難しい状況です。

ローコード/ノーコードの盛り上がり

 ローコードは特に新しい概念でも画期的なソフトウェアでもありません。ひと昔前は「超高速開発ツール」や「迅速開発ツール」と呼ばれ、さらにその前は「RAD(Rapid Application Development)ツール」とも呼ばれていました。このようにローコードは昔からあるツールですが、DXブームになってアプリケーションの迅速開発により注目度が上がったこと、クラウドサービスとして提供されるものが増えたためにより導入が容易になったことなどから、近年になって国内企業に広く受け入れられたのです。

ローコードの使いどころは?

 ローコードベンダーの宣伝を見て「どんなアプリケーションでも開発できる」と考える人も少なくないのですが、もちろんそんなはずはありません。各ツールに適した用途があり、それを見極める力が必要です。しかし、それを事前に理解することは容易ではありません。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ