IBMがストレージ基盤をRed Hat OpenShift Data Foundationと統合 事業体制も一元化へ

IBMがハイブリッドクラウドの運用を前提にストレージ製品の提供体制を刷新する。Red Hatのストレージ製品との連携を強化してKubernetesプラットフォーム市場にIBMの技術を訴求するとしている。

» 2022年10月14日 07時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 IBMは2022年10月4日(現地時間)、自社IBM Storage事業におけるRed Hatストレージとの連携強化を発表した。「IBM Spectrum Fusion」を「Red Hat OpenShift Data Foundation」と統合して提供する。その一環として、ハイブリッドクラウドでのストレージ運用ニーズに対応するため、新たにRed Hatが提供する分散オブジェクトストレージ「Ceph」を「IBM Ceph」として提供する予定だ。

 IBMは2019年にRed Hatを買収している。

 なお、IBM CephとRed Hat OpenShift Data Foundationは今まで通りオープンソースプロジェクトとして「アップストリームファースト」モデルによる開発体制を維持する。IBM CephとIBM Spectrum Fusionストレージソリューションは、2023年前半から出荷する計画だ。

統合後のRed Hatストレージ製品群はどうなる?

 今回発表されたポートフォリオ変更によってベアメタルや仮想環境、コンテナ環境のいずれでもデータのレジリエンシーやセキュリティ、ガバナンスを維持しながら、一貫したストレージサービスが利用可能になる。主な特徴は以下の4点だ。

  1. Red Hat OpenShift上で実行される全てのコンテナ化されたアプリケーション向けの統一されたストレージ体験:Red Hat OpenShift Data Foundationを統合したIBM Spectrum Fusionを利用することで、Red Hat OpenShiftで実行されるアプリケーションに対してブロックやファイル、オブジェクトのどの単位でデータにアクセスする場合でも高いパフォーマンスや拡張性、自動化、データ保護、データセキュリティを実現する
  2. IBM Cephによる、エンタープライズレベルの拡張性とレジリエンシーを備えた一貫したハイブリッドクラウド体験の実現:プライベートクラウドとハイブリッドクラウドのどちらにも対応する。データ保護や災害対策、高可用性、セキュリティ、自動スケーリング、自己修復可能な可搬性といった機能はハードウェアによらず、オンプレミス環境とクラウド環境の間を移動するデータとともに利用可能だ
  3. IBM Spectrum Scale上で非構造化データを集約し、インテリジェンスを引き出すための単一のデータレイクハウス:同プラットフォームは、単一でAI(人工知能)やハイパフォーマンスコンピューティングなどのデータ集約型ワークロードに対応する。集中型データアプローチを拡張する際に発生しがちな課題に対処し、管理の手間と時間の削減、データ移動と冗長性の低減、分析ツール向けのデータへの直接アクセス、高度なスキーマ管理とデータガバナンスが可能だ
  4. クラウドで構築し、オンプレミスで自動展開:開発したアプリケーションをクラウドからオンプレミスに移行し、ステージング環境を自動作成して導入手順をテストし、設定変更やデータベーススキーマ、データの更新を検証し、パッケージ更新を準備することで運用中の障害を解決する。業務に影響を与えるような問題になる前にエラーを修正できる

 今回の両社の合意に基づいて、IBMはCephの開発プロジェクトである「Ceph Foundation」のプレミアスポンサーとなり、開発プロジェクトやマーケティング、コミュニティーイベントを両社共同で推進する。

 Red HatとIBMは、2023年1月1日までに移行を完了させる予定だ。ストレージのロードマップとRed HatのアソシエイトをIBM Storage事業部に移管する。2023年1月1日以降もRed Hat OpenShift Platform PlusはOpenShift Data Foundationを含み、Red Hatやパートナー企業が販売する。

 「Red Hat OpenStack」のユーザーは、Red Hatやパートナー企業から「Red Hat Ceph Storage」を引き続き購入できる。「Red Hat OpenShift」とRed Hat OpenStackのサブスクリプションを持つユーザーはRed Hatとの関係を変えることなく、必要に応じてストレージフットプリントを維持、拡大できるとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ