日立は、ハイブリッドクラウド事業を強化し、ハイブリッドクラウドソリューション「EverFlex」を拡充する。IaaSの追加によるメリットとは何だろうか。
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日立製作所(以下、日立)は2022年10月19日、基幹システムのモダナイゼーション加速に向けハイブリッドクラウド事業を強化し、As a Service型のソリューションを拡大すると発表した。
具体的にはハイブリッドクラウドソリューション「EverFlex from Hitachi」のサービスを拡充し、IaaS(Infrastructure as a Service)でのデータ基盤サービスを開始する他、業務の継続性を高める「故障予兆通知」や、カーボンニュートラル達成に向けた「二酸化炭素(CO2)排出量の見える化」など、経営課題解決に貢献する運用サービスを開始する。
日立は、2021年10月からハイブリッドクラウドソリューション「EverFlex from Hitachi」(以下、EverFlex)を提供してきた。
ハイブリッドクラウドにおける業務システムの安定稼働と可搬性を向上させるため、EverFlexによるデータ基盤サービスにIaaSを追加し、2023年2月28日から提供を開始する。
IaaSを追加するメリットとは何だろうか。
日立は、業務システムの実行基盤であるIaaSをデータ基盤サービスのラインアップに追加することで、データの高い機密性を確保しつつ、業務システムでプライベートクラウドとパブリッククラウドを適材適所で使い分けられるようになるとしている。
従来は機密性などの懸念から基幹システムで稼働させてきた業務アプリケーションの一部を、パブリッククラウドも活用しながら実行できるようになる。データ分析や機械学習などのパブリッククラウドサービスとも連携する。
IaaSは、VMwareの仮想化クラウドプラットフォームである「VMware vSphere」を使った仮想マシン環境から提供開始する。パブリッククラウド側は「Hitachi Managed VMware Cloud on AWS」など日立のパートナークラウドを利用する。
ハイブリッドクラウド環境導入の際は、事前検証を終えた複数の推奨構成から用途に応じた構成を選択する。日立は「迅速かつ容易に導入できる上、事業環境の変化に合わせたリソースの拡張や削減も容易だ。ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる。従量課金制で利用できるため、大規模なシステム再構築による投資リスクを避け、導入・運用コストの低減も図れる」としている。
障害発生時や性能問題などが発生した場合には、日立が窓口となってハイブリッドクラウド環境のサポートをワンストップで対応し、クラウド事業者やソフトウェアベンダーなどのパートナーとも連携しながら迅速に問題を解決することで、顧客の運用負荷を軽減する。
運用サービスを強化し、IaaSの可用性を高める「安心・安全プラン」と、脱炭素化推進を支援する「サステナビリティプラン」を新たに提供する。両サービスは、IaaSの提供開始に先駆けて2022年10月31日から販売を開始し、2022年11月30日から提供を開始する。
両プランの概要は次の通りだ。
日立のクラウドストレージ製品の先行体験が可能な“Early Adopter Program”を2022年10月19日から開始した。このクラウドストレージはソフトウェアデファインドストレージ「Hitachi Virtual Storage Software Block」をハイブリッドクラウドに展開したもので、2023年度第1四半期から販売開始予定だ。同プログラムの利用により、顧客は業務システムにクラウドストレージを組み合わせた価値を創出するプロセスをいち早く実施でき、ハイブリッドクラウドの本格導入に向けた検討期間の短縮が可能になる。
日立は今後、EverFlexのデータ基盤サービスにおいて、データベースやコンテナ環境を従量課金制で利用できるサービスを拡充する。2023年度から順次提供予定だ。同社はハイブリッドクラウド事業の強化によって、基幹システムのモダナイゼーションを進め、新事業の迅速な立ち上げによる企業のビジネス成長を支援するとしている。
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