Google CloudはなぜWeb3をサポートするのか Web3企業が享受するメリットは

Google CloudがWeb3のサポート体制を強化している。今回発表した「Blockchain Node Engine」もそのうちの一つだ。Google Cloudを利用することでWeb3関連サービス開発にどのようなメリットがあるのか。

» 2022年11月02日 07時52分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 Google Cloudは2022年10月28日(現地時間)、Web3開発者のためのフルマネージドノードホスティングサービス「Blockchain Node Engine」を発表した。Google Cloudによれば、コンソーシアム型のWeb3サービスは参加者がおのおのでブロックチェーン処理専用ノードを用意する必要がある。従来、これらのノードは参加企業自身が環境を整備して運用する必要があったが、同サービスを利用することで、セキュリティを保ちながらトランザクションの中継やスマートコントラクトのデプロイ、ブロックチェーンデータの読み取りや書き込みを行うことができる。

 GoogleはBlockchain Node Engineの発表に際して「Web3業界をサポートする」と表現している。現段階でBlockchain Node Engineがサポートするのは「Ethereum」のみだ。

Google CloudはなぜWeb3業界をサポートするのか

 Google Cloud広報部はメールインタビューで「Web3業界をサポートする意図」について「Google Cloudは今日のブロックチェーン技術と分散型ネットワークの進化を10〜15年前のオープンソースソフトウェア(OSS)とインターネットの台頭になぞらえて考えている。OSSの開発がインターネット普及の初期に不可欠であったように、ブロックチェーン技術は世界中の消費者や企業に多大なイノベーションと価値の創出をもたらしている。この技術が主流になるにつれて、企業はビジネスの成長とネットワークをサポートするためにスケーラブルかつ安全で持続可能なインフラストラクチャを必要とする。Googleはこの進化の中でGoogle Cloudが重要な役割を果たすことができると考える」と回答した。

 Google Cloud広報部によれば、同社はさまざまなブロックチェーン関連サービスの開発者や企業と連携を強化しており、ブロックチェーンベースの新たなプラットフォームの構築やトランザクション情報の保持や資産価値の保存といったユーザーのニーズに応えるためにGoogle Cloudとしてデジタルアセットの専門チームを新たに設置している。

Web3企業がGoogle Cloudを利用するメリット

 Google Cloud広報部によると、Web3分野のGoogleユーザーがビジネスの成長のためにGoogle Cloudを利用する理由は以下の3つだ。

 1つ目がユーザーのビジネスと開発者のエコシステムをクリーンな方法でクラウドに構築できる点だ。Google Cloudは「多くのビジネスが持続可能な方法での成長を念頭に置くが、これを実現するにはサービスの持続可能な稼働とスケーリングが必要不可欠であり、ブロックチェーンの分野では特に関連性の強い事項」だと説明する。そのためにGoogleは、2030年までに全てのデータセンターを24時間365日、カーボンフリーで稼働させることを目標にしている。

 2つ目が「ブロックチェーンをサービス基盤とする開発者が、Googleが提供する開発プラットフォームの恩恵を受けられる点だ。Google Cloudが提供するサービスを組み合わせることでソフトウェアやデータ配信を高速化しやすくなる。

 3つ目が、ブロックチェーンサービスを安全かつ安定した信頼性の高い方法でスケールさせられる点だ。広報事務局は、Google Cloudの提供基盤の信頼性の高さとスケーラビリティを根拠に「データやアプリケーション、ゲーム、「NFT」(Non-Fungible Token) のようなデジタルアセットを安定で安全、そして信頼性の高いグローバルなネットワークで提供できる」と説明した。

 Blockchain Node Engineは現在、プライベートプレビューの段階にあるため、利用するにはGoogle Cloudへの問い合わせが必要だ。

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