ガートナーが説く 「デジタルビジネス」を成功させる3つのポイントWeekly Memo(1/2 ページ)

デジタルを活用したビジネス(デジタルビジネス)にどう取り組めばよいのか。DXを進める企業で頭を悩ませているところは多い。ガートナーが説くデジタルビジネスへの向き合い方から、「成功のポイント」を3つ挙げる。

» 2022年11月07日 12時00分 公開
[松岡功ITmedia]

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 「私たちが『デジタルビジネス』という言葉を使い始めてから9年が経過した」

 ガートナージャパン(以下、ガートナー)の鈴木雅喜氏(リサーチ&アドバイザリ部門ITインフラストラクチャ&セキュリティ バイスプレジデント アナリスト)は、同社が2022年10月31日〜11月2日に都内ホテルで開催した年次イベント「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」において、同氏が登壇した「古くて新しいデジタル・ビジネス:日本企業の現在と未来」と題した講演でこう切り出した。

ガートナージャパンの鈴木雅喜氏(リサーチ&アドバイザリ部門ITインフラストラクチャ&セキュリティ バイスプレジデント アナリスト)

DXを推進して経済環境の変化に対応せよ

 ガートナーはデジタル技術を活用したビジネスを「デジタルビジネス」と呼んでいる。鈴木氏によると、ガートナーが「デジタルビジネス」という言葉を初めて使ったのは、2013年秋に開催された同じ年次イベントでの同氏の講演だった。今回の講演は、その後の動向を踏まえて改めてデジタルビジネスにおける課題などを浮き彫りにしたものだ。同氏が語ったデジタルビジネスへの向き合い方の話から「成功のポイント」を3つ挙げてみたい。

 その前に、日本企業のデジタルビジネスの現状を示すガートナーの調査結果を2つ紹介しよう。

 1つ目は、従業員500人以上の企業を対象に、過去5年間におけるデジタルビジネスの進捗(しんちょく)状況を追った調査だ(図1)。

図1 デジタルビジネスの進捗状況(出典:「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」の鈴木氏の講演資料)

 「取り組んでいない/その他」から「他社を巻き込んでデジタル・ビジネスが増殖」まで7段階に分けて5年間の変化を示している。赤い矢印は変動が大きい箇所だ。

 鈴木氏はこのグラフから「デジタルビジネスに取り組んでいる下段3つの合計は、2022年は28.8%と3割近くに上った。一方で、最下段の外部に及ぶ積極的なデジタルビジネスを進めている企業は5%程度にとどまっている。企業はもっと活動を推進する必要がある」と指摘した。

 また、同じ調査でデジタルビジネスを手掛けている企業に対して、「新規事業を開発する動きが強まったかどうか」を聞いた結果は、2021年の43.3%から2022年は56.0%に増加している。デジタルビジネスを進めている企業は、新規事業の開発にさらにアクセルを踏んでいることが見て取れる。

 なぜ、デジタルビジネスを進めている企業はDX(デジタルトランスフォーメーション)をさらに推進しているのか。

 鈴木氏は、「世界的な経済環境が予断を許さない状況にあることが一つ挙げられる。景気後退の懸念が高まっている中で、ビジネスをしっかりと進めていくためにも、デジタル化をさらに推進する必要があると認識している企業が増えてきている」と説いた。一方で次のような見方も示した。

 「ただ、デジタルビジネスは短期間で成果を上げられるものではない。結果的に成果を上げられないケースも出てくるだろう。だが、失敗を恐れず、チャレンジし続けなければいけない。もちろん、小さな成果でも追い求める努力をすべきだ。DXを推進する企業文化を醸成することも重要な取り組みだ」

 こうした鈴木氏の話から、デジタルビジネス成功の1つ目のポイントとして、「DXを推進して経済環境の変化に対応せよ」を挙げたい。

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