ライバル企業から日本マイクロソフトへ 岡嵜氏が感じた"魅力と強み"岡嵜氏に単独インタビュー(前編)(2/2 ページ)

» 2022年12月21日 08時00分 公開
[大河原克行ITmedia]
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日本マイクロソフトの"これから"

――これまでの経験を日本マイクロソフトでどのように生かすつもりでしょうか?

岡嵜氏: 先にも触れたように私はエンジニア出身で、最初はSI(Systems Integrator)会社でプログラマーとしてキャリアをスタートしました。その後、アプリケーションからインフラまでを扱うアーキテクトやコンサルタントなどの経験を経て、プロジェクトや組織の立ち上げに携わりました。また、クラウドの領域ではさまざまな経験を経て、エンタープライズ企業からスタートアップ企業まで幅広い関係を築きました。こうした経験を基に、日本のユーザーに技術情報の提供や新たなイノベーションを提案したいと思います。

――日本マイクロソフトの課題は何だと思いますか?

岡嵜氏: これは「私がこれから取り組みたいこと」とも言えますが、「Microsoftの幅広いポートフォリオの価値と魅力をユーザーやパートナーに正確に発信しているか」という点は努力できる部分です。ソリューションの提供だけでなく、ユーザーのニーズや課題理解をより考える必要があります。ユーザーの目標達成や課題解決のためのソリューションポートフォリオを私たちは持っています。これにパートナーソリューションを組み合わせて、より高い価値を創出していきます。

 開発領域においても、GitHubのケーパビリティの強化や、Visual Studio CodeやPower Platformの活用に向けた提案の加速、より多くのデベロッパーやエンジニアへのノウハウ提供、コミュニティー活動を通じた相互の情報交換なども重要です。

――「Microsoft Cloud」の強みはどこにあると考えますか?

岡嵜氏: Microsoft Cloudは、IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)、SaaSにおいて、「セキュリティ」「インフラストラクチャ」「デジタル&Appイノベーション」「データ&AI」「モダンワーク」「ビジネスアプリケーション」の領域でサービス提供しており、ユーザーのニーズや課題に応える体制があります。これらのサービスをインテグレーションして提供することで、イノベーションを推進します。これがMicrosoft Cloudの強みです。

Microsoft Cloudの概要(出典:日本マイクロソフト提供資料)

――日本マイクロソフトは2022年7月から業種特化型の組織体制を強化したりしています。それらの組織と連動した成果は出ていますか?

岡嵜氏: 業種ごとの課題を浮き彫りにして終わりではなく、私たちの洞察を基にユーザーが気づいていない課題を見つけて解決策を提案したり、業種ごとのレファレンスアーキテクチャやソリューションの提供をさらに強化していくことが大切です。それを各業界ごとに推進していくのが業種特化型の組織の役割であり、「Microsoft Cloudをはじめとする多様なソリューションをどのようにインダストリーという切り口と組み合わせて課題を解決していくか」を分かりやすく見せる必要があります。

 クラウド&ソリューション事業本部と業種特化型の各組織が連動することで、ユーザーに寄り添う「業種に最適化したソリューション」を提供できます。私自身もこれまで金融や製造、自動車、ライフサイエンスなど、さまざまな業種のユーザーとビジネスを行ってきました。これらの知見も生かしたいです。

 現在、日本マイクロソフトの品川本社には「Microsoft Technology Center」があり、今後はそこに業種ごとのユースケースをリアルに体験できる仕組みを用意する定です。

――2022年10月にAzureがガバメントクラウドの一つに選定されました。「Amazon Web Services」や「Google Cloud」からは約1年出遅れましたが、日本の政府向けビジネスの拡大においては問題にはなりませんか?

岡嵜氏: デジタル庁のガバメントクラウドの一つとして、社会に貢献できることはうれしいです。Azureが選定された理由の一つには「公共分野でAzureを活用したいと望むユーザーの声が多かった」ことがあります。日本マイクロソフトは35年以上の歴史を持ち、多くの公共分野のユーザーがMicrosoftのOSやアプリケーションを活用しています。日本マイクロソフトが参加することで、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進をより速く実現できます。パートナー企業も、Azureを活用した自治体向けの提案などを迅速化できます。国民の生活を良くするために日本マイクロソフトが貢献できる部分は大きいといえます。「ようやく選定された」という声もありますが、この遅れは問題ではありません。

後編は

 前編となる本稿では、「岡嵜氏がなぜ日本マイクロソフトへ移ったのか」や「Microsoft製品の強みや魅力」がどこにあるのかを紹介した。後編では「日本企業が抱えるDXの課題」とそれを解決するための「Microsoftの取り組み」を紹介する。

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