ペプシコに続きウォルマート、UPSらが購入検討する“あの製品” 2023年は大変革の年になる?Transport Dive

厳しい状況が続く輸送業界。業界団体のリーダーらが今後、業界をガラリと変える3つのトレンドを明らかにした。その中には、大手企業が切り替えを検討する「あの製品」も含まれている。

» 2023年03月03日 09時00分 公開
[David TaubeTransport Dive]

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Transport Dive

 トラック輸送の状況は厳しさを増し、事業の成長スピードが減速する可能性がある(注1)。こうした中で、業界団体のリーダーと学術界は、輸送会社が追求すべき3つのトレンドを提言した(注2)。

物流業界が追求すべき3つのトレンド

 提言によると、市場に不透明感が漂う一方で、新しい政策と技術の勢いは「霧のように広がっている」という。

 消費者の習慣は変化しつつある。さらに市場のダイナミクスや税制優遇措置によって、輸送会社はトラックの効率を最大化する技術を利用して、長期的な負担となるコストを引き下げる可能性がある。

 景気の行方は不透明だが、環境に配慮したトラックに対する新たな税制優遇措置や自動運転テストの導入によって、輸送会社はこれまでよりも経営をコントロールしやすくなっている。2023年は課題もあるが、チャンスも生まれるだろう。

1. 燃料費を削減する技術の進化

 North American Council for Freight Efficiency(以下、NACFE)のマイク・ロス氏(事務局長)は、「需要が減少する不況期には、(自社ブランドではなく他社ブランドの製品として製造して供給する)OEMによって、トラックの購入台数を減らすための取り引きができる」と指摘する。

 これは輸送会社にとって大きなメリットとなる。より(燃料)効率の良いトラックを購入できる可能性が高まるからだ。

 NACFEは、C.R.England、J.B.Hunt、Maverick Transportationなどの大手企業20社を評価し、車両の燃料効率を改善するのに役立つ86の製品リストを作成した(注3)。輸送会社の新技術採用率を追跡し、長年にわたる傾向を示した(注4)。

 「燃費効率を高めるITを採用することで、燃料サーチャージが発生しても1ガロン当たりの走行距離を増やせる」(ロス氏)

 ディーゼル価格が1ガロン当たり5ドルの場合、1ガロン当たり平均7マイル走るトラックが10万マイル走行すると、燃料費が年間7万ドル以上かかるとロス氏は話す(注5)。

2.2023年はEVトラックにとって「変革の年」となるか?

 PepsiCoはTesla社の電気自動車(EV)大型トラック「Tesla Semi」を100台予約し、2022年12月に1回目の納車日を迎えた。PepsiCoはスナックと飲料の会社として、全社を挙げてこの技術を研究している(注6)。

 PepsiCoのこうした動きは、クリーンエネルギー車を推進する連邦政府の取り組みと重なる。特定の商用クリーン車購入に対する税額控除によって、企業が中型および大型トラックを購入するごとに最大4万ドル節約できる(注7)。

 「PepsiCoは『今年中にTesla Semiが100台走る状態を目指す』と主張していた。小売り大手のWalmartや物流大手のUPS、ビール大手のAnheuser-Buschといった他の大企業も注文を検討している。今年は(EVトラックにとって)変革の年になるかもしれない」と、トロントにあるSeneca’s School of Human Resources & Global Business教授のエリック・ノバック氏はTransport Diveに電子メールで述べる。

 ただし、「それ以外の企業が追随するかどうかはまだ分からない」とノバック氏は指摘する。また、EVが経済的利益をもたらすかどうかも明らかではない。2023年、これらの疑問に対してどのような答えが出るか、見守ることになるだろう。

 「多くの企業は、これまで好奇心を持ちつつも慎重なアプローチを取ってきたようだ。今後路上でTesla Semiが走っているのを見られるようになったとしたら、慎重な企業もEVの購入に積極的になるだろうか?」 (ノバック氏)

3. 米国で自律走行車のテスト運用が拡大

 自動運転車(AV)に力を入れる企業は、主要な輸送会社とパートナーシップを結びつつ、実用化に向けて前進と躍進をアピールしている。

 その開発レベルはまだ定かではないが、Auroraなどの企業は「運転技術プラットフォームが2023年末には完成する」と述べる(注8)。

 運輸調査委員会のトラック産業調査委員会を創設したWayne State Universityの経済学教授マイケル・ベルザー氏によると、テストが繰り返される一方で、変化は段階的に起こる。

 「特定の自律型トラックが走れる環境は存在するだろう。しかし、まだ規制を受けている状態だ」(ベルザー氏)

 一方、自動運転車を道路に走らせるかどうかを検討する州も増えている。ミシシッピ州の議員は、自律走行車と大型トラックが公道を走る法案を承認した。同法案は早ければ2023年7月1日に発効する(注9)。自律走行車産業協会専務理事のジェフ・ファラー氏によると、同州はレベル4(限定された範囲における高度自動運転)、またはレベル5(完全自動運転)の自律走行車を積極的に認可している。さらに他の22州もそれに賛同する可能性があるという(注10)。

 「私たちは、可能な限り多くの商業用通路を開放しようとしている」とファラー氏は述べ、自律走行車産業協会がケンタッキー州とサウスダコタ州でも積極的に働きかけていることを指摘した。

 ファラー氏は、トラック向けの自動運転システム開発を手掛けるTuSimpleのような企業がレイオフに見舞われていることについて、「経済環境が若い産業に影響を与えることは残念だ」と述べた(注11)。「企業は資金を早く使い切らないようにしている。資本市場や一般市民、政策立案者に長期的な視点で取り組んでいることを示そうとしているのだろう」(ファラー氏)

(注1)Trucking Conditions Index in December was Broadly Negative Aside from Falling Fuel Costs(FTR)
(注2)Economic Outlook 2023: Trends to watch(JPMorgan Chase & Co)
(注3)Existing Technology Enhances Freight Efficiency(North American Council for Freight Efficiency)
(注4)Existing Technology Enhances Freight Efficiency(North American Council for Freight Efficiency)
(注5)Study Shares Adoption Rates of Efficiency Technologies(North American Council for Freight Efficiency)
(注6)Fleet Efficiency(PepsiCo)
(注7)Topic G ― Frequently Asked Questions About Qualified Commercial Clean Vehicles Credit(Internal Revenue Service)
(注8)Aurora Analyst & Investor Day(Aurora)
(注9)Mississippi Legislature 2023 Regular Session(Mississippi Legislature)
(注10)Automated Vehicles for Safety(National Highway Traffic Safety Administration)
(注11)TuSimple will cut 25% of workforce, scale back freight lanes(Transport Dive)

(初出)3 trucking tech trends to watch in 2023

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