住友精密工業がIT基盤を刷新 その理由と方法は

住友精密工業が従来のIT基盤を刷新した。その背景にあった課題と刷新方法は。

» 2023年04月14日 07時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 Nutanixは2023年4月13日、住友精密工業が「Nutanix Cloud Platform」でIT基盤の運用管理効率とパフォーマンスの向上に成功したと発表した。住友精密工業がNutanixを選択するに至った訳とは。

住友精密工業がシステムを刷新 その理由と方法は

 住友精密工業は航空機の降着装置や熱制御システムの供給にはじまり、現在は用排水処理や製造工程用のオゾン発生装置の供給による地球環境保全、自動車やスマートフォンに搭載する微小電気機械システム(MEMS)の開発とセンサーへの応用などの分野にも進出している。

 同社の事業領域の拡大に伴い、各事業部では「航空機や熱交換器などの設計や開発情報を一元管理したい」「設計図面などの機密情報を確実に保護したい」といった異なるニーズが生まれ、情報システム部はこれらの対応を求められていた。

 同社はこれまで「ホストコンピュータを中心とした基幹システムの老朽化対策」「異なる事業ニーズへ柔軟に対応するためのシステムのオープン化」に取り組んでおり、そのプロジェクトの一環で生産管理や図面管理などに関わる仮想化基盤の刷新を決めた。

 従来の基盤は3層構成で130台以上の仮想マシンが稼働していたが、パフォーマンスやリソース不足で機能拡張に対応できなくなっていた。各事業部は時間とコストを節約しながら品質の高い製品を製造しなければならず、それに対応するためには「シンプルかつ容易な運用」「事業部門のニーズに応じて迅速にパフォーマンス強化」できるシステム運用が必要だった。

 住友精密工業がこれらの条件を満たすソリューションとして採用したのが「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ」(HCI)だ。さらに、構成がシンプルで少数の技術者で十分に運用できることからNutanix Cloud Platformを選んだ。

 同社は生産管理システムや図面管理システムなどが稼働する環境を従来の3層構成のシステムからNutanix Cloud Platformへ移行する際、Nutanixが無償で提供する「Nutanix Move」を活用した。住友精密工業の西村敦毅氏(本社・工場 情報システム部 システム開発グループ)は「Nutanixのサポート部門が作業中に発生した質問に対して的確に回答してくれたので、限られた期間内でスムーズに移行できました」とコメントしている。

図1 Nutanix Moveでシステムを移行(出典:Nutanixのプレスリリース)

 住友精密工業の山東俊喜氏(本社・工場 情報システム部 システム基盤グループ長)も「経営の観点から機密性の高いデータを扱うための安定したオンプレミスが必要な一方、災害時の事業継続のためにBCP(事業継続計画)やディザスターリカバリー(DR)向けにクラウドも重要です。Nutanixを活用したオンプレミスとクラウドのバランスの良い運用を目指していきます」と今後についてコメントした。

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