今、話題沸騰の「ChatGPT」をはじめとするジェネレーティブAIは、ビジネス活用においてどんな可能性があるのか。一方で、リスクとその対策とは。アクセンチュアの説明から考察する。
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「ジェネレーティブAI(人工知能)は今後、あらゆる仕事や生活に影響を及ぼすだろう。その影響の大きさはインターネットと同様、あるいはそれ以上になるかもしれない」
アクセンチュア 執行役員 ビジネスコンサルティング本部AIグループ 日本統括AIセンター長の保科学世氏は、同社が2023年4月18日にオンラインで開いたジェネレーティブAIに関する記者説明会でこう切り出した。
アクセンチュアを代表するAIスペシャリストでもある保科氏が、ジェネレーティブAIについて会見で話すのはこれが初めてだ。
ジェネレーティブAIの影響については「新たな産業革命」と表現する専門家もいるので冒頭の発言に驚きはない。ただし、これまで同氏の話を幾度も聞いてきた筆者には珍しい興奮ぶりが印象的だった。特にビジネス活用における可能性とリスクに関する話が分かりやすく興味深かったので、今回はその内容のエッセンスを取り上げたい。
保科氏は、ジェネレーティブAIができることとして、テキストやイメージ、サウンドの3分野に分けた(図1)。ジェネレーティブAIの中では「ChatGPT」がここ数カ月、注目を集めている。右側の図にあるように、ジェネレーティブAIはGPTをはじめとした大規模言語モデル(LLM)を中心に複数が存在する。
ビジネスで想定されるユースケースとしては、保科氏は図2で挙げられている例を示しながら「ジェネレーティブAIを活用することで、さまざまな業務の在り方が大きく変貌する」と説いた。例えば「情報システム」の内容を見ると、要求事項から設計文書を作成してコード生成、テスト計画生成、ソースコードから脆弱性を検知し、ITヘルプデスクもこなすといったように、かなりの業務を自動化できる。
こうしたユースケースを考える上で必要なのは、ジェネレーティブAIと人間のそれぞれが得意なことをどう仕分けるかだ。アクセンチュアは図3のように仕分けた。右枠がジェネレーティブAIの能力、左枠が人間の能力で、中央で両方が交わった形になっている。この交わった部分はジェネレーティブAIの「高度な模倣部分」で、人間の能力における「創造」のかなりの部分と重なることを示している。
保科氏はこの点について、「ジェネレーティブAIはこれまで『人間しかできないこと』と捉えられてきた『抽象的問題の取り扱い』や『柔軟な対応』を実現しつつある。AIと人間の境界線は変化し続けるため、その時々に最適な役割分担を把握する必要がある」と指摘した。
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