Salesforceの売上高の成長率が過去10年間で最低の数値を記録した。その中でも収益を伸ばしている製品とは何か。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
絶好調だったSalesforceの成長率に陰りが見えているという。その理由は何か。また、成長率が低下する中で収益を伸ばしている製品とは。
CRM(顧客管理)ソリューションを提供するSalesforceの2023年4月30日までの2023年第1四半期の売上高は、前年同期比11%増の82億5000万ドルに達した。しかし、この成長率は2010年度以降で最も低い。
Salesforceは2023年5月31日に開催された決算説明会で、自社の成長率の伸びが停滞している問題について「顧客が大規模な変革への取り組みを敬遠しているため、技術支出や販売サイクルの長期化に対して厳しくなっている」と分析した(注1)。
Salesforceのブライアン・ミルハム氏(社長兼COO《最高執行責任者》)は「プロフェッショナルサービス事業では、2024年第1四半期に複数年にわたる変革への需要が減少し始めている。顧客は短期間で成果を上げ、価値を発揮するまでの時間を短縮することに注力した。そのため、一部の案件でプロジェクトが遅延している」と説明する。
Salesforceは、「顧客数の伸びの鈍化はより広範なマクロ環境に起因する」としている。
同社のエイミー・ウィーバー氏(CFO《最高財務責任者》)は2023年11月、2023年第3四半期の決算説明会で「可能な限り高いリターンを確保するため、投資額に対する顧客の厳しい監視の目が向けられている」と述べた(注2)。
ミルハム氏は2023年5月31日の電話会議で「顧客から当社への風当たりは依然として厳しい」と、警鐘を鳴らした。「顧客は全ての取引を精査し続けている。特に中堅・中小企業や、新規ビジネス創出と成約、顧客自身で対応できるサービスなど、取引額の多い収益源において取引サイクルの長期化と圧縮が見られる」(ミルハム氏)
調査会社Gartnerの予測によると(注3)、景気後退のシグナルがあり、購買意欲が低下しているにもかかわらず、世界のIT支出は2023年も5.5%の成長が見込まれている。
顧客が大規模な変革プロジェクトを敬遠する中で、Salesforceは業界に特化したクラウドサービスを提供することで成功を収めている。これは、ITベンダーが特定の業界に向けてクラウドソリューションをカスタマイズするというトレンドに沿う形だ(注4)。ミルハム氏によると、Salesforceが提供する業界特化型クラウドのうち8つの製品は、年間経常収益が50%以上増加したという。
(注1)Salesforce Announces Strong First Quarter Fiscal 2024 Results(Salesforce)
(注2)Salesforce customers closely scrutinize software spend(CIO Dive)
(注3)Gartner expects a sunnier outlook for IT spending in 2023(CIO Dive)
(注4)3 cloud trends to watch in 2023(CIO Dive)
(初出)Salesforce flags waning demand for long transformation projects
顧客データを国内限定でも運用可能に Salesforce Hyperforceに新機能追加
Snowflakeが急減速? 「データの置きしぶり」を始めた米国企業
MicrosoftとSalesforceがジェネレーティブAIで競争 ユーザー側が気を付けるべきことは
SalesforceはTableauをどう生かす? 製品統合がもたらす可能性© Industry Dive. All rights reserved.