多くの企業がDXに多額の資金を投入している。DXの目的として掲げられることの多い、成果創出や今後を見据えたビジネスモデルの転換は果たして実現しているのだろうか? アンケート調査の結果から実態を見てみよう。
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世界有数のデジタル大国となった中国。先進的な工場は日本のメディアによく取り上げられ、世界の時価総額ランキングで上位に入る中国企業が目立つ一方で、中国企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)をどのように進めているのかはあまり知られていない。
この連載では、「組織構造」「企業文化」「DX実践」という3つの視点を切り口に、DX実装(推進)における中国企業の特徴を考察している。第1回は「組織構造」、第2回と第3回は「企業文化」、第4回は「DX実践」に言及した。
本稿は「まとめ」として、DX実践の結果、中国企業がどのような成果を挙げたかを清華大学グローバル産業研究院(Institute for Global Industry,Tsinghua University)が発表したアンケート調査結果「中国企業におけるデジタルトランスフォーメーション研究報告書」(2021)を基に明らかにする。また、中国企業におけるDX実践の取り組みの方向性が2020年と2021年でどのように変化したかも分析する。
「DX実装した結果、売り上げにどのぐらいDX実装が寄与しているか」という質問に対する中国企業の回答は次の表の通りだ。
総売上に占めるDX由来の売り上げが「10%以上」に上る企業は約15%を占める。多いとはいえないが、比較的目立つ貢献度でインパクトは大きいと思われる。「5〜10%」と回答した約18%、「0〜5%」と回答した約50%を含めると、DX実装によって売り上げが発生した企業は合計で83%に上る。
ビジネスモデルの改善にDX実装はどのような影響を与えたか。
DX実装が最も効果を上げたのは「新製品・新サービスの開発」で、全体の73%を占めた。その他には「新しい収入源を確保した」(約39%)、「新しいパートナーを見つけた」(約32%)、「真新しいニッチ分野を市場開拓できた」(約26%)など、DX実装によるビジネスモデルの改善に対するポジティブな認識がみられる。
これらの回答を分析すると、「中国企業はDX実装によって未展開の領域を開拓したと評価できる」と筆者は考えている。
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