日立が提供する「アセット活用開発支援ソリューション」 4つの特徴

市場ニーズや外部環境の変化に対応するために柔軟なIT施策が求められている。各部署に蓄積された知見をどう共有するか、悩む企業も多い。日立が提供を開始した、社内のアセット(資産)を組織横断で利用可能にするためのソリューションの特徴とは。

» 2023年08月30日 10時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 日立製作所(以下、日立)は2023年8月23日、デジタルによる変革をめざす企業に向けて「アセット活用開発支援ソリューション」の提供を開始すると発表した。

「アセット活用開発支援ソリューション」 4つの特徴

 日立はアセット活用開発支援ソリューションについて企業のアセットを組織横断で利用可能にし、システムの内製化や「DX -Readyな企業」への成長を支援するとしている。

アセット共有の概念図(出典:日立のプレスリリース) アセット共有の概念図(出典:日立のプレスリリース)

 日立によれば、システム全体像の構想策定を支援するコンサルティングから、アセットを蓄積・共有するプロセス設計やプラットフォーム構築、生成AIなどの最新技術を利用する開発環境の構築、アセットを活用した開発までトータルで支援するとしている。同社のデジタル事業を推進することを目的にグループ全体で利用している「Lumada Solution Hub」のアセット活用に関する知見を集約し、顧客のニーズに合わせて必要な仕組みや開発環境をカスタマイズした。Lumada Solution Hubは、日立が保有するさまざまなデジタル技術を活用したソリューションの集合体である「Lumada」の導入を推進するパッケージ型のクラウドサービスを指す。

 アセット活用開発支援ソリューションの特徴は次の4つだ。

1、アセット活用に向けた構想策定コンサルティング

 日立のコンサルタントが顧客の課題や目指す姿についてワークショップを通じてヒアリングし、アセットを蓄積、活用する仕組みの立ち上げから定着までのロードマップを策定する。システムの全体像やペルソナの定義、利用パターンの整理、導入効果、体制などアセット活用に必要なシステム構想のグランドデザインを支援する。

2、自社アセットの蓄積や共有を可能にする仕組みづくりの支援

 日立の知見を集約した各種ガイドラインを基に顧客の組織に合うプロセスづくりを支援する。プロセスづくりの具体的な内容にはアセットの登録状況や品質の管理、組織横断で登録を推進するための手順、登録後の共有方法などがある。共有ポータルやリポジトリ、コミュニティーの設置といったアセットの共有を促すためのプラットフォームの設計や構築、運用支援にも対応する。

3、システムの内製化を推進するアセットベース開発の支援

 Lumada Solution Hubの開発プロセスや環境を汎用(はんよう)化し、顧客に合わせた開発標準プロセスの設計や活用するアセットの選定、開発環境の構築、アセットベース開発の定着を支援する。生成AIを活用した仕様書の作成支援機能やコーディング支援機能を追加するに当たって、日立の「Generative AIセンター」の知見を提供する。CI/CD(Continuous Integration/Continuous Delivery)、OSS(Open Source Software)脆弱(ぜいじゃく)性検知の機能を開発環境に適用する。新しい技術に関する十分な知識がない場合も、最新技術を用いた開発を継続的に可能にするとしている。

4、レガシーシステムのモダナイゼーションと人材育成の支援

 リライトツールやローコードツール、モダナイゼーション開発に向けた手順、マイクロサービスに関連する製品などレガシーシステムのモダナイゼーションを支援するツールや製品群を提供する。アセット活用を推進する際に課題となるシステムのモダナイゼーションを進める製品を、アセット活用開発支援ソリューションと合わせて用いて、開発を効率化させる。DevSecOpsやGitHub、JFrogといったシステム開発に必要な技術の導入教育も実施する。

「アセット活用開発支援ソリューション」の概念図(出典:日立のプレスリリース) 「アセット活用開発支援ソリューション」の概念図(出典:日立のプレスリリース)

 日立は顧客との協創を進めるために、日立グループの異なる部署がスピーディーに情報収集してつながる仕組みとしてLumada Solution Hubを構築してきた。現在はデジタルを活用したさまざまな業種業務のソリューションやナレッジ、ユースケースなど合計1000件を超えるアセットをLumada Solution Hubに蓄積しているという。

 今後、同社は最新技術を導入して開発の効率化や高品質化に取り組み、プラットフォームの継続的な改善を図るとしている。

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