パナソニックが富士通のリスク管理サービスを導入 強靭なサプライチェーンマネジメントの実現を図る

自然災害の激甚化や半導体の供給不足などさまざまな不安要素があふれる中で、サプライチェーンの強靭化は事業継続に関わる大きな課題だ。

» 2023年08月31日 11時15分 公開
[田中広美ITmedia]

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 パナソニック エレクトリックワークス(以下、パナソニックEW)は2023年8月30日、サプライチェーン体制のレジリエンス強化を目的として、富士通が提供するサプライチェーンリスク管理サービスを2021年7月から導入していることを明らかにした。

災害に「負けない」サプライチェーン

 自然災害の激甚化、頻発化が顕著になる中で、サプライヤーの被災情報を迅速に共有することや対策を実施することは事業継続のための課題となっている。

 パナソニックEWは、サプライチェーンリスク管理サービスをベースに同社独自の運用手法「ES-Resi」(イーエスレジ)を確立して、グローバル規模でのサプライチェーンリスクマネジメントに取り組んできた。富士通は、これまでの導入実績で培ったノウハウや知見を生かしてパナソニックEWのES-Resi定着を支援した。

 これまでパナソニックEWのサプライチェーンリスク管理は、国内17拠点・海外7拠点の拠点単位で運用していたため、災害発生時に影響を受けた部品や製品、顧客に関する情報を把握して対策を立案するまでに時間がかかっていた。ES-ResiをパナソニックEWに展開することで、タイムリーな情報把握が可能になり、迅速な対策をとれるようになったという。

ES-Resiの3つの特徴

 ES-Resiを導入することで、事前にサプライヤーの供給体制におけるリスクを洗い出し、自然災害やサプライヤーの事故など予測不能な事象に起因した部品調達の影響度合いを把握できる。サプライヤーの被災状況を迅速に把握できれば、生産計画の見直しや代替調達の検討ができる。リスク対策状況を一元的に可視化することも可能だ。

 ES-Resiの3つの特徴は次の通りだ。

自然災害発生時における迅速な影響把握と対策アクションの促進

 震度5強以上の大規模地震や、大雨警戒警報レベル4以上の気象庁データを自動的に取り込み、警戒対象地域のサプライヤー拠点を地図上で表示する。影響が出る可能性のある調達部品や発注元情報を把握できる。コミュニケーションツール「Microsoft Teams」(以下、Teams)のチャット機能を利用して、パナソニックEWの経営層を含む全社で迅速な影響把握と対策アクションの促進を実現したとしている。

グローバルでも国内同様のアクションを展開

 パナソニックEWのサプライチェーンに影響を及ぼす、グローバルな災害情報をリアルタイムに災害アラートとしてTeamsのチャット機能を利用し、国内と同じ水準で展開している。

震度5以上や大雨警戒レベル4以上の気象庁データに自動リンクしたサプライヤー情報の提供(出典:富士通のサプライチェーンリスク管理サービスの画面。地図情報は「Google Maps Platform」を利用) 震度5以上や大雨警戒レベル4以上の気象庁データに自動リンクしたサプライヤー情報の提供(出典:富士通のサプライチェーンリスク管理サービスの画面。地図情報は「Google Maps Platform」を利用)

全社規模のリスク対策状況を一元化して可視化

 商品カテゴリーごとに重要品目を選定し、リスク対策状況を全拠点が共有サプライチェーンツリーで事前登録することをKPI(重要業績評価指標)に設定した。全社のリスク対策状況を一元的に可視化し、リスク管理運用を標準化することで主力商品のサプライチェーンの強靭化を実現したとしている。

重要製品のサプライチェーンツリーとリスク対策登録(出典:富士通のサプライチェーンリスク管理サービスの画面。地図情報は「Google Maps Platform」を利用) 重要製品のサプライチェーンツリーとリスク対策登録(出典:富士通のサプライチェーンリスク管理サービスの画面。地図情報は「Google Maps Platform」を利用)

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