――UiPathのユーザー企業には先進的な企業が多くあるとイベント「AI-Powered Automation Summit」の発表を聞いて思いました。しかし、日本全体でみると、日本企業は生産性の低さが指摘されています。生産性向上という観点から、自動化が果たす役割について何かメッセージをいただけますか。
シェルドン氏:私は日本企業の生産性について知見を持っているわけではないので、謙虚な気持ちでお答えします。私はUiPathに入社する前に、Microsoftで7年間、コミュニケーションツールの「Microsoft Teams」に携わっていました。このときの経験を基にお話しすると、生産性には「人」が絡んでいます。
以前、ある人が「コラボレーション作業をするとき、最も生産性が高い人には3つの共通点がある」と言っていました。1つ目は、目的をしっかりと持っていること、2つ目は(スキルの)熟練度が高いこと、3つ目は自律性が高いことです。
コラボレーション作業の生産性を上げるためには、チーム全体でこの3つを向上させる必要があります。そのために何をすべきか。
1つ目については、今何が起きているかを把握することが大切です。そして、これからやろうとしていることに人を関与させるべきです。2つ目については、ツールを導入するだけでなく、人材教育にお金をかけることで市民開発を促していくことが欠かせません。お金をかけることで、従業員はスキルを上げようというモチベーションを保てます。3つ目の自律性は、「自分の意見を聞いてもらえる環境にある」「自分はチームに貢献している」と従業員が体感することで向上させることができると考えています。
ここからUiPathの話に戻りますが、実は業務自動化には「Automation Hub」という”影のヒーロー”がいます。社内のさまざまな人々のアイデアを拾って業務自動化のコミュニティーを拡張するクラウドソーシングのソリューションです。
Automation Hubを利用することで自分が出したアイデアに誰かがコメントを付けたり、アイデアが採用されて業務プロセスの自動化に反映されたりする様子を追うことができます。こうした経験を積むことで、チームや会社への貢献を体感することができるようになると私は考えています。
――最後に、貴社が現在開発している「Wingman」について伺います。Wingmanは自然言語で自動化のシナリオを作成できるようになるとのことで、これまで自動化に取り組んでこなかったり、あるいは自動化のための専用ツールを導入していなかったりする企業にとってハードルが一気に低くなるのではと思います。まだリリース時期は発表されていないようですが、いつ頃使えるようになりますか。
シェルドン氏:今日のところは「そのうち(Soon)」と答えておきたいと思います(笑)。
以前は「自動化は理解しにくい」という印象を持っている人もいましたが、Wingmanは自然言語が使えることでユーザーに「ベストな機会」を提供してくれると考えています。UiPathはユーザーの使い勝手を追求してきました。Wingmanにも、ぜひご期待ください。
UiPath 最高製品責任者 グラハム・シェルドン氏
Microsoftで「Microsoft Dynamics」「Microsoft Bing」「Bing Ads」「MSN」などの製品管理を担当した後、「Microsoft Teams」の製品担当コーポレートプレジデントを務める。その後、UiPathに入社。20年以上にわたる生産やデザイン、エンジニアリングの経験を生かして米国ワシントン州ベルビューやインドのバンガロール、ルーマニアのブカレストのチームを指揮している。
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