生成AIを活用したソリューションが次々に発表されている。ServiceNowのNow Platformの最新版Vancouverではワークフロー全体に生成AIが統合された。生成AIの活用でわれわれの仕事の進め方は具体的にどう変わるのか。
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ServiceNow Japan(以下、ServiceNow)は2023年10月3日、自動化ソリューションの統合プラットフォーム「Now Platform」の最新版「Vancouver」における生成AI(人工知能)活用や新機能に関する記者説明会を開催した。
Now Platformは1年に2回メジャーアップデートされており、「Vancouver」は2023年4月の「Utah」に続くアップデートとなる。記者説明会ではワークフロー全体に統合したという生成AIに多くの時間が割かれ、同社が生成AIに特に注力している様子がうかがえた。Vancouverの概要についてはこちらの記事にまとめている。本稿では記者説明会で実施されたデモの様子を中心に、生成AIがわれわれの仕事の進め方をどう変えるのかを紹介する。
同社の原 智宏氏(常務執行役員 ソリューション統括)は説明会の冒頭で、多くの企業が抱えている課題として「デジタル化の進展によってデジタル資産が拡大している。しかし、必ずしも全体として正しくオーケストレートされず、さまざまなシステムが乱立している。(その結果、組織体制やデータの)サイロ化も深刻だ」と、デジタル資産の増大に運用が追い付いていないとの認識を示した。
こうした状況に併せてセキュリティリスクの高まりやDX(デジタルトランスフォーメーション)を担う人材の不足といったユーザー企業に共通する問題がVancouverへのアップデートの背景にあると解説した。
原氏によると、こうした課題を解決するためには企業変革が必要で、それには生成AIと自動化との連携が不可欠だという。生成AIによって非構造化データを整理してボトルネックやデジタル化の機会を発見し、自動化に活用することでワークフローの自動化に結び付く。このサイクルを回すことで改善策が継続的に実行されるようにし、パフォーマンスが最適化される。
原氏は、生成AIの活用によって期待できることとして「生産性の改善」を挙げ、「当社のオリジナル生成AI『Now Assist』を製品に統合することで、(生成AIを)活用できる状態は既に整っている」と語った。
具体的な製品として、ITサービスにおけるインシデント対応を支援する「Now Assist for ITSM」やカスタマーサービスにおける生産性向上を図る「Now Assist for CSM」、人事担当者の従業員対応の生産性向上を図る「Now Assist for HRSD」、開発者が自然言語からコードを生成できるようにする「Now Assist for Creator」の4つが紹介された。
記者説明会では上記4製品の生成AI利用が紹介された。ITサービスにおけるインシデント対応を紹介する場面では、ServiceNowの古谷隆一氏(マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長)が「これまでインシデントに対応する担当者は日々発生する大量のインシデントに対して、情報を整理してサマリーを作成する必要があった」と課題を整理した上で、生成AIがもたらすメリットとして次の2点を挙げた。
原氏はインシデント対応をはじめとする業務に生成AIの活用について、「業務のスタート地点である検索、またその後の過程においてビジネス文脈を理解した対応をプラットフォームが自動で提供する。従来よりも一歩踏み込んだより能動的な自動化を進めている」と語った。
公開当初、「ITサービスにおけるインシデント対応を支援する『Now Assist for CSM』」と記述しておりましたが、正しくは「ITサービスにおけるインシデント対応を支援する『Now Assist for ITSM』」でした。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです(2023年10月11日14時25分更新)。
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