「ChatGPT」の登場で大いに注目を集めている生成AIが、さまざまな業務システムに組み込まれるようになってきた。これからは単なる業務システムにおける利用だけではない、企業活動への導入効果が期待される。それは何か。また、生成AIブームが私たちに問いかけているものとは。アクセンチュアの説明を基に考察したい。
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「生成AIは、2022年11月に『ChatGPT』が登場して大いに注目を集め、2023年11月1日に『Microsoft 365 Copilot』が一般提供されて、いよいよ業務システムに組み込まれるようになってきた。これから先、企業活動においてどんなことが起こり得るのか、考察してみた」
日本のAI(人工知能)分野におけるキーパーソンの1人でもあるアクセンチュアの保科学世氏(執行役員 ビジネスコンサルティング本部 AIグループ日本統括 AIセンター長)は、同社が2023年11月2日に「生成AIを活用した経営術・仕事術と最新動向」と題して開いた記者説明会でこう切り出した。
保科氏は、生成AIが企業活動にどのように利用されるかという観点で、大きく2つの方向を示した(図1)。
この2つの方向の先に「デジタルツインエンタープライズの実現」があるという。
それぞれの動きについて見ていこう。
まず業務システムへの組み込みについて、保科氏はアクセンチュアが先行ユーザーとして「Microsoft 365 Copilot」を使用した例に挙げ、生成AIの現在地として図2を示した。生成AIを組み込んだMicrosoft 365の各アプリケーションがデスクワークでできるようになることを一覧にしたものだ(図2)。大いに参考になる情報である。
パートナーAIについては、同社ですでに利用されているピアワーカーの具体的なサポート内容を図3に示した。保科氏によると、ポイントはこれらの動きを連携させながら、利用者(従業員)の求めに応じて生成AIならではのアドバイスや意見を受けることができる点だ。これによって、利用者はよりクリエーティブなアウトプットを実現できる。
さらに、パートナーAIを「社会と個人」に当てはめると、「個人に寄り添って何でも相談できるパートナーAIが今後、出現するだろう。その個人が日々の生活で利用したり消費したりするものは、パートナーAIとつながることはもちろん、バックボーンにおいてプラットフォーム同士の連携を広げることも求められるようになる。とりわけ、多くの個人から信頼されるパートナーAIをどこが提供するか。その覇権争いがこれから始まるだろう」というのが、保科氏の見方だ。非常に興味深い話である(図4)。
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