生成AI活用時代 「業務システムへの組み込み」以外の効果をアクセンチュアが提言Weekly Memo(1/2 ページ)

「ChatGPT」の登場で大いに注目を集めている生成AIが、さまざまな業務システムに組み込まれるようになってきた。これからは単なる業務システムにおける利用だけではない、企業活動への導入効果が期待される。それは何か。また、生成AIブームが私たちに問いかけているものとは。アクセンチュアの説明を基に考察したい。

» 2023年11月13日 16時30分 公開
[松岡 功ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 「生成AIは、2022年11月に『ChatGPT』が登場して大いに注目を集め、2023年11月1日に『Microsoft 365 Copilot』が一般提供されて、いよいよ業務システムに組み込まれるようになってきた。これから先、企業活動においてどんなことが起こり得るのか、考察してみた」

 日本のAI(人工知能)分野におけるキーパーソンの1人でもあるアクセンチュアの保科学世氏(執行役員 ビジネスコンサルティング本部 AIグループ日本統括 AIセンター長)は、同社が2023年11月2日に「生成AIを活用した経営術・仕事術と最新動向」と題して開いた記者説明会でこう切り出した。

アクセンチュアの保科学世氏(執行役員 ビジネスコンサルティング本部 AIグループ日本統括 AIセンター長)

新たな導入効果を生む「パートナーAI」とは

 保科氏は、生成AIが企業活動にどのように利用されるかという観点で、大きく2つの方向を示した(図1)。

  1. 業務システムへの組み込み: 生成AIが業務ソフトウェアに組み込まれる形だ。同氏の冒頭の発言にもあるように、ここにきて具体的になってきた
  2. 人を支えるパートナー」: AIが共に働く同僚、すなわち「パートナーAI」となる。同社ではこのパートナーAIを「ピアワーカー」と呼ぶ。このパートナーAIこそが、これからの企業活動において生成AIが新たな導入効果を生むカギとなる

 この2つの方向の先に「デジタルツインエンタープライズの実現」があるという。

図1 生成AIが企業活動にどう利用されていくか(出典:アクセンチュアの記者説明会資料)

 それぞれの動きについて見ていこう。

 まず業務システムへの組み込みについて、保科氏はアクセンチュアが先行ユーザーとして「Microsoft 365 Copilot」を使用した例に挙げ、生成AIの現在地として図2を示した。生成AIを組み込んだMicrosoft 365の各アプリケーションがデスクワークでできるようになることを一覧にしたものだ(図2)。大いに参考になる情報である。

図2 「Microsoft 365 Copilot」における生成AIの利用形態(出典:アクセンチュアの記者説明会資料)

 パートナーAIについては、同社ですでに利用されているピアワーカーの具体的なサポート内容を図3に示した。保科氏によると、ポイントはこれらの動きを連携させながら、利用者(従業員)の求めに応じて生成AIならではのアドバイスや意見を受けることができる点だ。これによって、利用者はよりクリエーティブなアウトプットを実現できる。

図3 アクセンチュアのパートナーAI「ピアワーカー」のサポート内容(出典:アクセンチュアの記者説明会資料)

 さらに、パートナーAIを「社会と個人」に当てはめると、「個人に寄り添って何でも相談できるパートナーAIが今後、出現するだろう。その個人が日々の生活で利用したり消費したりするものは、パートナーAIとつながることはもちろん、バックボーンにおいてプラットフォーム同士の連携を広げることも求められるようになる。とりわけ、多くの個人から信頼されるパートナーAIをどこが提供するか。その覇権争いがこれから始まるだろう」というのが、保科氏の見方だ。非常に興味深い話である(図4)。

図4 個人に寄り添って何でも相談できるパートナーAIが出現(出典:アクセンチュアの記者説明会資料)
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ