NTTデータにみる「ITサービス企業のこれからの姿」 同社が目指す「社会変革プロデューサー」を通して考察Weekly Memo(1/2 ページ)

「社会変革プロデューサー」を目指すNTTデータの新たな取り組みから、ITサービス企業のこれからの姿について探ってみる。

» 2024年02月05日 16時05分 公開
[松岡 功ITmedia]

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会見に臨むNTTデータの佐々木 裕社長

 「これからは『社会変革プロデューサー』として社会課題の解決に取り組んでいきたい」

 NTTデータの佐々木 裕社長は、同社が2024年1月26日に都内ホテルで開催したプライベートイベント「NTT DATA Foresight Day 2024」の基調講演でこう力を込めた。

 「社会変革プロデューサー」とは何か。佐々木氏の講演とその直後に開催された会見の内容がITサービス企業のこれからの姿を示唆していると感じたので、今回はこの話題を取り上げたい。

「社会変革プロデューサー」とは何か

 佐々木氏は講演で、社会変革プロデューサーについて次のように説明した。

 「私たちが目指す社会変革プロデューサーとは、『ビジネスフォーサイト』と『テクノロジーフォーサイト』による洞察を基に、社会課題の解決に必要なミッシングピースは何かを明らかにする。その上で、お客さまやパートナー企業とともにそのピースを埋めるプレーヤーのことだ。そのピースにはテクノロジーだけでなく、業界構造や法規制の見直しなどもある」(図1)

図1 社会変革プロデューサーの概要(出典:「NTT DATA Foresight Day 2024」基調講演)

 同氏によると、ビジネスフォーサイトは「地政学や気候変動などのさまざまな要因から産業構造、競争環境などの変化を先読みし、お客さまのビジネスのあるべき事業立地を読み解くこと」、テクノロジーフォーサイトは「テクノロジーとそれが既存のマーケットに与えうる可能性を見極め、起こりうる産業構造、競争環境などの変化を読み解くこと」だ。同社では毎年、このフォーサイトについての提言レポートを公開している。

 フードロスとともに大きな社会課題として注目されているファッションロス(衣服ロス)をどう解決していくか。同氏は「現在、衣類の売れ残りが年間で総生産量のおよそ半分に当たる15億着に上る。家庭の衣類ごみも大型トラックで1日120台分も廃棄されている。ファッションロスを解決するためには大量生産や大量消費、大量廃棄から循環型モデルへと転換しなければならない」と問題提起した上で、次のように解決方法を示した。

 「この課題を解決するには、サプライチェーンの課題とデマンドチェーンの課題の両面から取り組む必要がある。サプライチェーンでは効率的な生産計画と取引の仕掛け、つまりは正しいトレーサビリティーや高度な需要予測などが必要になる。デマンドチェーンではロスを生まない店舗と消費者への仕掛け、つまりは受注生産を実現するためのバーチャルな試着や最適な販売・宣伝、高度な需要予測などをしっかりと実施することが重要だ。これらのピースを埋めるためにはテクノロジーとビジネスの両面からアプローチすることが必要だ」

 その上で、同氏は「当社では最新のテクノロジーを提供する一方、ビジネスにおいても各業界を先導する企業とともに法改正の見直しなどに取り組み、ファッションロスのような社会課題の解決に努めている」と述べた(図2)。

図2 ファッションロスの解決(出典:「NTT DATA Foresight Day 2024」基調講演)
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