Red Hatが緊急警告、XZ UtilsにCVSS 10.0の脆弱性 悪意あるコードが挿入かセキュリティニュースアラート

Red Hatは最新バージョンのXZ Utilsに不正アクセスを意図する悪意あるコードが含まれていると発表した。この脆弱性はバージョン5.6.0および5.6.1に存在しCVSSスコアは「10.0」と評価されている。

» 2024年04月02日 14時44分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 Red Hatは2024年3月29日(現地時間、以下同)、最新バージョンの「XZ Utils」に不正アクセスを意図した悪意あるコードが含まれていたと伝えた。

CVSS v3スコア「10.0」 複数のLinuxディストリビューションに深刻な影響

 悪意あるコードはXZ Utilsのバージョン5.6.0および5.6.1に含まれているとされており、「CVE-2024-3094」として特定されている。共通脆弱性評価システム(CVSS) v3のスコア値は「10.0」で深刻度「緊急」(Critical)に分類されている。

 XZ Utilsはファイルの圧縮や解凍を実行するツールだ。効率的な圧縮アルゴリズムを提供しており、複数のLinuxディストリビューションなどで採用されている。

 Red Hatによると、XZ Utilsのバージョン5.6.0および5.6.1には悪意あるコードが難読化された状態で仕込まれており、特定条件下のビルドにおいてライブラリーの関数を悪意あるコードに変更する処理が仕込まれている。そのビルドを使った場合にはsystemdを介したsshd認証の妨害が可能になる。

 Red Hatは「Fedora Linux 40」と「Fedora Rawhide」のユーザーがシステムアップデートのタイミングで脆弱(ぜいじゃく)性を含んだバージョンを受け取った可能性があるとしている。同社はそれぞれのユーザーに対して以下の対策を推奨した。

 Red Hatは2024年3月30日に情報をアップデートし、Fedora Linux 40 β版に同脆弱性の影響を受ける次の2つのxzライブラリーが含まれていることを確認した。

  • xz-libs-5.6.0-1.fc40.x86_64.rpm
  • xz-libs-5.6.0-2.fc40.x86_64.rpm

 Palo Alto Networksは2024年3月30日、Red Hatが報じた上記の脆弱性情報を取り上げ、影響を受けるLinuxディストリビューション情報として次の項目を挙げている。

  • Red Hat: Fedora Linux 40、Fedora Rawhide
  • Debian: Debian testing/unstable/experimental 5.5.1alpha-0.1から5.6.1-1までのバージョン
  • Kali: 2024年3月26日〜2024年3月29日まで
  • OpenSUSE: OpenSUSE TumbleweedおよびOpenSUSE Micro OS 2024年3月7日〜2024年3月28日まで
  • Apline: 5.6.1-r2以前の5.6.x系バージョン
  • Arch: インストールメディア2024.03.01、仮想マシンイメージ20240301.218094および20240315.221711、2024年2月24日から2024年3月28日の間に作成されたコンテナイメージ

 本件については米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)も「Reported Supply Chain Compromise Affecting XZ Utils Data Compression Library, CVE-2024-3094 | CISA」において注意喚起している。

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