銀行業における生成AI活用の実態は? 成果を上げた領域が明らかに技術トレンド

SAS Instituteは銀行業における生成AIの活用状況を調査したレポートを発表し、銀行業界が他業種に比べて生成AIを積極的に導入していることを明らかにした。

» 2024年12月18日 10時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 SAS Institute Japanは2024年12月3日、生成AIの銀行業における活用状況に関するレポートを発表した。

 この調査は世界20カ国1600人のビジネスリーダーを対象に実施したものだ。それによると、多くの銀行が2025年度に大規模なAI関連予算を確保していることも分かった。

他業界に先行する銀行業界で、AIはどんな成果を出したか

 同レポートは世界的かつ業界横断的な調査に基づき、20カ国1600人のビジネスリーダーを対象に実施されたものだ。調査対象には銀行の生成AI戦略に関する意思決定を担う上級幹部(243人)が含まれている。

 レポートでは銀行における生成AIの導入状況や最大の課題について保険業界、公共機関、ヘルスケア業界、製造業、小売業といった他業界との比較に基づいた考察が示されている。

 調査によると銀行業界の60%が「すでに生成AIを利用中」と回答し、38%が「今後2年以内の導入を計画している」と回答している。「2025年度に向けた生成AI専用予算を用意している」と答えたのは全体の90%に上った。

 銀行業界において 生成AIを活用する銀行ではどの領域で成果を上げているのだろうか。

 調査によるとアンケートに回答した銀行幹部の90%が「従業員エクスペリエンスと満足度の向上」を実感しており、次いで「リスク管理やコンプライアンス対策の強化」(88%)や「時間の節約や業務コストの削減」(85%)を挙げた。

 「顧客満足度向上」(82%)や「大規模データセットの処理効率の向上」(78%)、「データ活用による販売強化」(76%)も高い値となった。

 生成AIの進展に伴い、銀行が直面する課題も明らかになっている。データプライバシー(74%)やセキュリティ(71%)への懸念が根強く、効果的なAIガバナンスの確立も未熟な段階にある。回答者のわずか6%が「十分に確立されたガバナンスフレームワーク」を持つと答えており、多くの銀行が透明性や説明責任の向上に取り組む必要があると分析されている。

 生成AIが銀行の業務プロセスや顧客体験を大きく変革している一方で、規制やデータ管理における課題も残る。SASは信頼性と透明性を兼ね備えたAIのガバナンスフレームワークの重要性を強調しており、責任あるイノベーションが銀行の未来を形作るカギであると結論付けた。

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