企業がAIに慎重な姿勢を見せつつある今、アクセンチュアの生成AI事業の戦略はどう変わろうとしているのか。ユーザー企業が予算を抑制しながらAIの利用を拡大する傾向に適応できるのか。
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生成AIをはじめとするAI導入が進む中で、ユーザー企業はAIに関する費用対効果を厳しく点検し始めた。AI投資額自体は増やしつつも、かつてのような太っ腹な予算配分は鳴りを潜めつつある。
Accentureのジュリー・スウィート氏(会長 兼 CEO)は2024年12月19日(現地時間)、2025年第1四半期決算説明会で「生成AIは大規模なDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し続けている」と語った。
ユーザー企業はかつてのようなAI予算に対する大盤振る舞いを抑制し、予算を膨らませることなくAIをスケールさせるための領域にIT投資をシフトしている。こうした支出のトレンドが過去1年間で固まりつつある中、Accentureは生成AI事業の戦略をどのように適応させようとしているのか。
「特に小規模案件で支出が抑制されているのを確認し、当社は再構築のためのパートナーとして選ばれることに注力するよう方向転換した」(スウィート氏)
Accentureは2024年11月30日までの3カ月間に187億ドルの新規事業を展開したが、そのうち12億ドルが生成AIに関連するものだ(注1)。
同社の売上高は前年同期比9%増の177億ドルだった。そのうちコンサルティングが90億ドルを占め、マネージドサービスも86億ドルとコンサルティングとほぼ同額だ。
「顧客企業はデータ基盤の再構築に重点を置いており、つまりそれは大規模な変革を意味する。現段階では顧客企業の全体的な支出、特に小規模案件への支出は増額していない」(スウィート氏)
大手テック企業がGPUを増強し、クラウドサービス大手であるハイパースケーラーがインフラ構築を強化するため、アナリストは2025年のIT市場は世界規模で成長すると予想する(注2)。
しかし、AIを中心としたITコンサルティングや調査を手掛けるInformation Services Groupによると、「企業は支出に慎重な姿勢を崩していない」(注3)。2025年、経営幹部はAI投資を5.7%増やす計画だが、IT支出全体を厳しく管理し、他の部分でコストを最適化することでモダナイゼーションを実現するための投資を賄う意向だ。
スウィート氏によると、Accentureはここ数カ月でこの傾向が固まりつつあると見ている。同氏は2024年12月19日に「テーマはコスト効率と成長の2つだ。どの業界もコスト効率を求め、同時に成長を目指している」と話している。
クラウドとデータのモダナイゼーションはAIの価値を引き出すものであり、企業の成長の鍵を握ることは変わらない。
Accentureは2024年初め、ハイパースケーラーとのパートナーシップを拡大し、同年8月には「Fortune 500」企業へのAI導入を推進するためにGoogle Cloudとの提携を深化させた(注4)。同年3月にはAWS(Amazon Web Services)およびAIサービススタートアップのAnthropicとの3社間協定を締結した(注5)。
AI利用をスケールさせたい企業は、クラウドベースのプラットフォームソリューションに目を向けているとスウィート氏は言う。
「生成AIを活用するには絶対に不可欠なデータ作業に進展が見られる」(スウィート氏)
(注1)Accenture Reports First-Quarter Fiscal 2025 Results(Business Wire)
(注2)IT spend mounts as CIOs build out enterprise AI capacity(CIO Dive)
(注3)AI spending to grow faster than IT budgets next year, executives say(CIO Dive)
(注4)Accenture and Google Cloud Advance AI Adoption and Cybersecurity with Fortune 500 Companies(Accenture)
(注5)Amazon cements minority ownership in Anthropic with $4B investment(CIO Dive)
(初出)Accenture sees enterprises prioritizing large-scale transformations
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