ビジネスモデルの変革を迫られているSIは今後どうなるのか。SIer大手の日鉄ソリューションズの取り組みから見えた「SIビジネス変革のポイント」とは。
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企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の動きに伴い、従来のSI(システムインテグレーション)はビジネスモデルの変革を迫られている。この変革はベンダーだけでなく、ユーザー企業にとっても自社のIT環境のSIおよびDXの推進に向けて重要なポイントとなる。
SIはこれからどのように変わるのか。このテーマに対し、SIer(システムインテグレーター)大手の日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)が2025年2月28日に発表した2025年度(2026年3月期)から2027年度(2028年3月期)までの中期経営計画で、SIにおける新たな取り組みを説明した。その内容を通じて今後のSIの姿を探っていく。
2001年設立のNSSOLは、年間売上高が約3300億円(2024年度見込み)で、従業員数が約9000人のSIerだ。日本製鉄の子会社(持ち分比率63%)で、上場企業でもある。親会社向けの売り上げは2割程度で製造や金融、流通など幅広い業種のミッションクリティカルなシステムの構築、運用に強みを持つ。
NSSOLの玉置和彦氏(代表取締役社長)は今回発表した中期経営計画で、まず中長期的なITメガトレンドとして、「生成AIなどの新技術によるシステム開発・運用の変化」「デジタルサービスの拡大」「業界横断プラットフォームの本格化」の3つを挙げた(図1)。
同社は今回の中期経営計画に先駆けて2024年4月に「NSSOL2030ビジョン」を策定しており、3つのトレンドはその両方を見据えたものだ。これを受けて同氏は「この大きな変化を捉え、他社を凌駕する成長を実現するためには従来のビジネスモデルからの変革が必要だ」と強調した。
従来のビジネスモデルからの変革とはどういうことか。玉置氏は「当社はこれまで自らのミッションを『お客さまに伴走するパートナー』と位置付け、お客さまの個別課題の解決に取り組んで来た。しかし、昨今の環境変化を踏まえ、抜本的な意識改革が求められていると認識し、NSSOL2030ビジョンでは自ら価値を創造して課題解決を主体的にリードするプロデューサーになるという意思を込めて、『Social Value Producer with Digital』を掲げることにした」と説明した(図2)。
中期経営計画の変革に向けた具体的な戦略として、同社は次の4つを挙げた。
この中で筆者が最も注目したのは、1の事業収益モデルの変革だ。玉置氏によると、「従来の個別受託型SIモデルから、Social Value Producerを体現する3つの収益モデルである『TAM型』(通称:タム型)を主軸として事業収益モデルへの変革を目指す」とのことだ。TAMのTは「次世代SIモデル」、Aは「アセット活用型」、Mは「プラットフォーム提供モデル」を指す(図3)。
同氏はTAM型について、「事業収益モデルの変革においてカギを握るのは、A型の拡大だ。当社にはこれまでのSIで蓄積されてきた知見やアセットをソリューションとして実現している先行事例がある。今後もそうした知見やアセットを基にソリューション化を一層進めていく。こうした取り組みが、T型をさらに磨き上げ、M型の拡充にもつながると考えている」とも説明した(図4)。
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