ITRの調査によると、AIブームの中、2桁成長が続いているAI以外のツールがあるという。高成長が続いている背景と併せて見てみよう。
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AIブームの中、企業の投資はAIが優先されがちだ。こうした中で、投資が集中しているAI以外のツールとは何か。またその理由とは。
アイ・ティ・アール(以下、ITR)が実施した調査(注1)によると、そのツールは2023年度に市場を構成するベンダーの6割以上が2桁成長を遂げ、2024年度もその勢いは維持されることから14.4%の伸びが期待されるという。
そのツールとは、ローコード/ノーコード開発ツールのことだ。
ITRによると、ローコード/ノーコード開発市場の2023年度の売上高は812億2000万円、前年度比14.5%増となった。市場を構成するベンダーの6割以上が2桁成長となり、特に市場に大きな影響力を持つ上位2ベンダーの伸びが要因になったとITRは分析する。2024年度も同様の傾向により、同14.4%増を予測する。
ローコード/ノーコード開発プラットフォームは、業務アプリケーションの開発コスト削減や開発期間の短縮、迅速なアップデートの実施など、開発の効率化を目的に年々導入が進んでいる。DX(デジタルトランスフォーメーション)や業務改革推進の時流に乗り、今後も導入の拡大が期待されるという。
提供形態別に見ると、パッケージの売上高は大幅な増加は見込めないものの、基幹システム周辺での開発で一定の需要があり、市場は緩やかに成長する見通しだ。
一方、クラウドサービスは、「Microsoft Excel」の代替として利用されるシンプルなものや、モバイル用アプリケーション開発に特化したもの、コーディングも可能な比較的高度なものなど、バリエーションが豊富で適用範囲が広いことから、今後もローコード/ノーコード開発の主軸として大企業から中小企業に至るまで導入が進む予想だ。
これらのことから、同市場の2023〜2028年度のCAGR(年平均成長率)は12.3%で、2028年度には2023年度の1.8倍の市場規模に拡大するとITRは予測する。
ITRの甲元宏明氏(プリンシパル・アナリスト)は、「DXや業務改革を推進するために多くの国内企業がシステム開発の内製化を進めており、その手段としてローコード/ノーコード開発ツールは大きな期待を寄せられている。生成AIと連携するツールも登場しており、今後市場がさらに大きく成長することは確実だ」とコメントする。
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