トヨタやGM、フォルクスワーゲンの「次の一手」は? 自動車業界のAI活用法CIO Dive

自動車業界では自動運転やドライバー体験の向上を目的としたAIの活用が進んでおり、トヨタはAIエージェントも導入した。各社のAI活用方法を見てみよう。

» 2025年04月09日 08時00分 公開
[Roberto TorresCIO Dive]

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CIO Dive

 自動車メーカー大手のGeneral Motors(以下、GM)は2025年3月3日(現地時間、以下同)、バラク・トゥロフスキー氏を同社初の最高AI責任者に任命した。「今後はトゥロフスキー氏がAI戦略を統括する」と同社は「CIO Dive」に説明した。

トヨタやGM、フォルクスワーゲンのAI戦略は?

 トゥロフスキー氏はこれまでGoogleやSAP、Microsoftなどで指導的役割を担っており、直近ではCisco SystemsでAI担当バイスプレジデントを務めていた。GMではデイブ・リチャードソン氏(ソフトウェアおよびサービスエンジニアリング担当シニアバイスプレジデント)の直属となる。

 GMはAI戦略をどう進めようとしているのか。トヨタやフォルクスワーゲンのAI活用例と併せて紹介する。

 GMのトゥロフスキー氏は「LinkedIn」に投稿したメッセージで、「GMの変革に関われるのは素晴らしいことだ。自動車製造にAIを応用することでGMのイノベーションに貢献したい」と述べた(注1)。

 業界を問わず、企業はAI導入を強化している。自動車製造の分野では、トップブランドが業務プロセスの効率化を図ると同時に、車両にもAIを組み込み始めている。

 Volkswagen of Americaは2024年9月にGoogleと提携し、アプリに生成AIを導入して情報に容易にアクセスできるようにし、ドライバー体験の向上を図っている(注2)。トヨタ自動車はMicrosoftとの提携の一環として、知見の蓄積や共有を支援するAIエージェントを導入した(注3)。

 2025年初頭、GMはEV(電気自動車)の充電ステーションの設置場所として最適な場所を特定するためにAIを活用したと発表した(注4)。同社のデータサイエンティストは、予測分析や地理空間アルゴリズムによって候補地の交通動向を評価し、設置場所を選定したという。

 2024年12月、GMは自動運転タクシー部門を閉鎖した(注5)(注6)。「これにより、年間10億ドルのコスト削減につながる。自動運転戦略は個人向け車両に集中して展開する」とメアリー・バーラ氏(CEO)は2025年1月の決算説明会で発表した。

 自動運転の取り組みに加えて、GMは業務全体にAIを浸透させることにも注力している。販売代理店の注文プロセスの改善や品質検査の強化、製造で発生した問題をピンポイントで特定するといった業務にAIを活用している。

AI専任の責任者を任命する企業は増えている

 AI担当責任者を新設するのはGMだけではない。2024年には多くの企業がAIの取り組みを推進するためにAIに特化した経営幹部の役職を設けた。こうした動きが広がる一方、AIの指揮はIT部門が依然として担っているのが一般的だ。

 調査会社のGartnerのレポートによると、4分の1の企業がCIO(最高情報責任者)にAIの管理責任を負わせている。AIの責任者を兼任している役職として最も多いのがCIOだ(注7)。「専任のAIの管理責任者がAI導入に関する主な責任を負っている」と回答した割合はわずか16%だった。

 ただし、専任のAI管理責任者を任命する企業は増えている。市場調査会社のAltrataが米国の3万5000社の公開・非公開企業を対象として実施した分析によると、最高AI責任者を設置している大企業の数は2024年には前年比でほぼ倍増したという(注8)。

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