ニッセイ・ウェルス生命は基幹システムをOCIへ移行し、バッチ処理を50%短縮しつつ、検索性能とセキュリティを強化した。安定運用と将来のフルクラウド化を視野に入れた取り組みを推進している。
日本オラクル(以下、オラクル)は2025年5月8日、ニッセイ・ウェルス生命が基幹業務システムを「Oracle Cloud Infrastructure」(以下、OCI)へ移行したと発表した。オンプレミスと比較してバッチ処理時間が50%短縮され、データベースの検索性能も向上したという。
ニッセイ・ウェルス生命は約20万件の契約情報を管理する保険契約管理システムをOCIで運用開始した。この保険契約管理システムは、契約管理部門やコールセンターによる日常的な照会業務、夜間の定期バッチ処理など、生命保険業務の中核を担うシステムで、移行に当たっては既存システムとの整合性確保と業務継続性が求められた。
OCIの採用に際しては「Oracle Database」との高い親和性に加え、移行することで150以上のサービスが利用可能になる点も評価した。従来のオンプレミス環境では実現が難しかった機能が利用可能になったことでシステム性能やセキュリティの強化が実現したという。
特に「Oracle Real Application Clusters」(RAC)、「Oracle Data Guard」などの高可用性機能や、データベースと通信の暗号化、国際的な情報セキュリティ評価基準への準拠といったOCIのセキュリティ体制が高く評価された。これにより、検索性能や応答速度の向上に加え、安全なデータ管理が可能になった。
本プロジェクトではTISが移行を担当し、ニッセイ・ウェルス生命が活用している「Microsoft Azure」(以下、Azure)とのマルチクラウド運用体制も構築されている。「Oracle Interconnect for Azure」の採用により、AzureのアプリケーションとOracle Database間で2ミリ秒未満の低レイテンシー通信が実現し、ネットワーク性能と運用効率を向上させた。
ニッセイ・ウェルス生命の東田 歩氏(IT本部 ITインフラ推進部 部長兼IT基盤運用管理G グループ長)は次のように述べた。
「OCIでは、堅牢(けんろう)で高可用なシステムの構築を支援するOracle RACやOracle Data Guardを利用でき、低障害・高稼働が求められるシステムでも安心して運用できます。また、OCIが提供する各種サービスによりイニシャルコストを抑えたクラウド移行を実現し、移行後も障害なく安定稼働しています。今回のOCIへの移行の成功により、フルクラウド化、脱データセンターの取り組みを加速します」
今回の移行はニッセイ・ウェルス生命のクラウド戦略の一環として実施しており、セキュリティパッチの自動適用やチューニング不要な高性能運用により、さらなる業務効率化と柔軟なシステム運用の基盤を整えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.