食品メーカー大手のミツカンは、持続的な成長に向けて100を超える既存システムを刷新し、新たな経営基盤を構築した。複雑な業務をどのように標準化したのだろうか。
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食品メーカー大手のミツカンは2025年5月、新たな経営基盤の本格稼働を開始した。同社は、複数のクラウド製品を組み合わせる「マルチクラウド戦略」によって、100を超える既存システムを刷新し、最新のテクノロジーを活用した経営基盤を実現した。いったい、どのようにしてこのような大規模な変革を成し遂げたのだろうか。
SAPジャパンは2025年9月4日、ミツカングループの日本エリアにおける経営基盤刷新をPwCコンサルティングと共同で支援し「SAP S/4HANA Cloud」を中核としたクラウドオファリング「RISE with SAP」を導入、本稼働を開始したと発表した。
システム構築ではシステムに業務を適合させる「Fit to Standard」を基本方針とし、従来は各業務領域に運用されていたシステムを統合した。対象範囲は本社および国内グループ会社であり、会計やSCM領域における業務標準化を実現した。これによってアドオン開発を抑制し、ドライ、チルド双方の業務プロセスに対応可能な仕組みを構築した。また、資金管理や販売費管理、需給管理(S&OP)なども、追加ソリューションを組み合わせることで標準化を図っている。結果として100を超える既存システムを置き換えもしくは廃止し、環境変化に柔軟に対応できる経営基盤を整備した。
本件は複数のクラウド製品を活用するマルチクラウド方式を採用した。RISE with SAPを中心に「SAP Integrated Business Planning」「SAP Analytics Cloud」「SAP Business Technology Platform」「SAP Promotion and Agreement by Vistex」などを組み合わせ、定期的な機能拡充や今後提供される最新ツールとの連携を通じて、業務効率化と高度化の可能性を広げている。
プロジェクト期間中には、SAPの「premium engagements」サービスを活用し、PwCコンサルティングとSAPジャパンが協力して課題解決や進捗管理を進めた。その結果、計画通りのスケジュールで稼働に至り、稼働後も安定した運用を続けている。
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