2026年、伸びるIT投資はどの分野か。IDCの予測によると、ある分野における大幅な反動減を補って余りある投資分野があるという。伸びる分野と縮む分野、それぞれの背景に迫る。
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IDC Japan(以下、IDC)は2026年1月14日、国内IT市場の産業分野別・従業員規模別・地域別の最新予測データを発表した。2026年の国内IT市場規模は、前年比2.3%増の28兆1074億円となる見通しだ。
2024〜2029年のCAGR(年間平均成長率)は5.9%で推移し、2029年には33兆3185億円に達すると予測している。
2026年の国内IT市場は、2%台にとどまるとIDCは見ている。小幅なプラス成長にとどまる要因は、ある分野における大幅なマイナス成長にある。2025年に比べて大きく需要が減る分野とは何か。
2026年に大幅なマイナス成長が見込まれるのは、PC分野だ。2025年10月の「Windows 10」サポート終了に伴う駆け込み需要が収束し、その反動が表れる。スマートフォン分野でも、物価高騰による消費者の更新需要停滞からマイナス成長が予測されている。
一方、企業のIT支出は引き続き好調だ。IaaS(Infrastructure as a Service)やソフトウェア、ITサービスの各分野は2026年も堅調に拡大を維持する見込みだ。特に大企業や中堅企業を中心に、生産性向上や収益拡大を目的としたデジタル化・デジタルビジネス推進への投資、既存システムのインフラモダナイゼーション(クラウドシフト、マイグレーションなど)を目的とした投資が拡大するとみている。
産業分野別では、民間企業の各分野でプラス成長を予測する。特に情報サービス業では、データセンター構築に伴うIT機器需要や自社サービス拡充に向けたIT支出により、高い成長率を見込む。サービス業や金融業でも、デジタル化・デジタルビジネス推進や既存システム刷新に加え、データ基盤整備やAI、生成AI活用への投資が拡大するとIDCは見ている。
2025年4月に発表され、同年8月に一部施行された米国の関税政策については、自動車産業など一部の組立製造業を中心に影響が及んでいるとIDCは見ている。ただし、国内経済全体および国内IT市場への影響は比較的軽微であり、多くの企業でIT支出は継続する予測だ。
なお、公的分野では教育領域で、2025年の「GIGAスクール政策」に伴うPC更新需要の反動から2026年はマイナス成長となる見込みだ。地方自治体でも、2025年度における「自治体クラウド」移行案件がピークアウトし、IT支出はプラス成長ながら小幅にとどまるとIDCは予測する。
従業員規模別に見ると、小規模企業では、資源価格高騰や人材不足、米国関税政策の影響によって業績回復が遅れている。前述した2025年のPC更新需要の反動もあり、2026年の小規模企業のIT投資は大幅なマイナス成長となる。中堅・中小企業(従業員規模999人以下)全体でもIT支出はプラス成長ではあるものの、成長率は小幅にとどまる見通しだ。
ただし、中堅・中小企業の中で比較的従業員規模が大きい企業では、深刻化する人材不足がIT投資を後押ししている。生産性向上を目的としたデジタル化や既存システム刷新、クラウドシフトを目的とした案件が継続しており、IT支出が拡大する見込みだ。
IDCは2026年の国内IT市場を総括し、2025年までのPC更新需要の反動によって成長率が鈍化するものの、民間企業では大企業や中堅企業を中心に積極的なIT支出が継続することからプラス成長は維持すると指摘する。2027年以降は再び堅調な拡大を予測する。
IDCの市村仁氏(Verticals & Cross Technologies シニアリサーチマネージャー)は「現在、IT支出が抑制傾向の小規模企業や大都市圏以外の地域の企業でも、人材不足の深刻化などによりデジタル化での生産性向上のニーズは高い。ITサプライヤーは、こうした企業に対して容易に導入可能なデジタルソリューションの開発や、パートナーなどと連携したデジタル化支援体制の整備が求められる」と分析している。
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