スマートフォンやタブレットだけじゃない、「タッチ」の市場広がる
タッチ機能はスマートフォンやタブレットに広まっているが、ハイテクテーブルやPCなど、ほかのデバイスにも進出している。
タッチスクリーンが重宝するのはどのようなときか?
この先、ハードウェアメーカーとソフトウェア開発者がそれぞれ好きなように開発を進めていけば、この疑問はそのうち、「タッチスクリーンが重宝しないのはどのようなときか?」というものに変わることになるだろう。
タッチスクリーン機能がスマートフォンやタブレット端末に広まっていることは、当然よく知られている。まず米AppleのiPhoneの登場がGoogleのAndroidスマートフォンを誕生させる引き金となり、そのAndroidスマートフォンが今度はMicrosoftにタッチ操作を前提としたWindows Phone 7を開発させる圧力となった。もしジャック・ゴールド氏などの業界アナリストの指摘が正しいのであれば、フィンランドのNokiaも近く、自社の端末にAndroidかWindows Phone 7を採用し、よりタッチ操作を重視した世界へと適応することになりそうだ。
同様に、タブレット端末もタッチ機能を備えるのが急速に当たり前になりつつある。熱気にあふれるコンシューマー向けタブレット市場に、最初に火を点けたのがAppleのiPadだ。それを機に、ほかのメーカー各社も自社で新しい製品ラインを開発するチャンスをとらえ、その多くがタブレット端末用のソフトウェアプラットフォームとしてAndroidを選択した。その勢いに後押しされ、Googleは今や、より大画面の端末に最適化された最新のAndroid 3.0(コードネームはHoneycomb)を開発するに至っている。ほかには、カナダのResearch In Motion(RIM)や米HPのように、プロプライエタリなOSで動作するタブレットを開発しているメーカーもあるが、そうした端末もiOSやAndroidと同様、ユーザーの指が主な入力手段となっている。
もっとも、今年1月に開催された家電見本市Consumer Electronics Show(CES)やその後の幾つかの発表会では、各社から、そのほかのフォームファクタのタッチスクリーン機能も続々と発表されている。確かに、タッチスクリーンは何年も前から存在している技術であり、特にモバイル市場がその誕生にかかわったわけではない。だが最近では、スマートフォンやタブレット端末の人気に駆り立てられ、各社とも新たな方法で自社製品にタッチ技術を統合させる方向へと向かっているようだ。
例えばCESでは、Microsoftは記者会見やメディアとの会合において、同社のタブレットサイズの次世代タッチスクリーン製品「Surface 2」のデモを披露している。Surface 2はWindows 7を搭載し、表面はゴリラガラスで覆われている。同社幹部によると、この強化ガラスは45センチの高さからビール瓶を落としても耐えられるという。韓国Samsungと共同で開発されたこのSurface 2の主な市場には、Hard Rock Cafeなどのレストランや画廊のほか、ダイナミックな画像表示を必要とする各種の公共空間などが含まれている。
またCESの数週間後には、HPがタッチ機能を前面に押し出した2種類の23インチデスクトップPC、「TouchSmart Elite 610」と「Elite 9300」を披露した。ソフトウェアパッケージとしては、610にはTouchSmart Apps Center、930にはビジネス志向の機能が用意されている。HPは、これらの端末はタッチスクリーンにより、デザイナーなどのプロフェッショナルユーザーや小売業の従業員などが多用途に利用できる便利なツールになるものと考えている。
さらにMicrosofthとその製造パートナー各社はiPadキラーの座を狙い、超薄型のフォームファクタにタッチスクリーンを備えたハイブリッド型のノートPCを売り込んでいる。例えば韓国SamsungがCESで発表した「Series 7」は、キーボードを本体下にスライド収納してタブレット端末に切り替えられるようになっている。またAcerは、タッチスクリーンを2つ搭載し、一方をキーボードとして使用できるノートPCを披露している。実際CESでは、タブレット端末であれスマートフォンであれ、とにかくタッチスクリーンが会場の主役となっていたようだ。
こうして市場に徐々に商品が溢れつつある今、持つべき疑問は当然ながら、「これらの端末のうちどれだけが生き残れるか」ということになるだろう。
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