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» 2005年09月01日 12時00分 公開

オフショア開発時代の「開発コーディネータ」(12):中国人は質問したがり、したがらない、本当はどっち? (3/4)

[幸地司,アイコーチ有限会社]

質問したがらない中国人と何でもおくせず質問する中国人

ALT 大連開発区に進出した日系企業の工場

  「いちいち質問せずに、自分の判断で仕事ができるのが優秀な人間である」。一般的な中国社会には、このような価値観があるのは事実です。そのため、中国オフショア開発では「見切り発車」「勝手に仕様変更」「勝手にスケジュール変更」といったトラブルが絶えません。質問をしたがらないのは、私たちアジア人がメンツを重視するからなのです。特に中国オフショア開発では、メンツに関する下記の現象が有名です。

  • バグを隠ぺいする傾向が強い
  • 人前で怒られるのを嫌う

 一方で、読者からの声をまとめると、次のような中国人の傾向が浮かび上がってきます。

  • 疑問を持ったら、すぐにでも解決したい
  • 好奇心旺盛で勉強熱心
  • 信頼した人にはとことんなつく

 また、先述のように「中国から質問が多いのは喜ばしい現象である」という見解を述べたところ、これに対して、北京在住の日本人の方から次のような感想が寄せられたので、一部を抜粋して紹介します。

-----Original Message-----

初めまして。北京に赴任している、○○○○と申します。

赴任前も北京に開発を委託しておりました。

いつもメルマガを拝見しております。自分で悩んでいたことを、皆さんいろいろな切り口で考えていらっしゃって、とても勉強になります。

確かに以前は質問がまったくなく、提出されてから、まったく違うものを作らせてしまったことに気付いて、初めから作り直すというようなことを繰り返していました。

しかし、最近はまさに「質問の件数が多過ぎて、日本側SEが閉口する」のです。「常識」が違うなど、いろいろな原因があるとは思いますが、最近の自分の感触としては、質問が多いのは、こちらの社員が手戻りを極端に嫌がる傾向にあることに起因しているのではないかと感じております。

多くの日本人は自分で設計書などのドキュメントを作る際に、不明確や未確定の部分は、自分からの提案の意味も込めて補完し、まずはドキュメントを作成してみます。そして、顧客に確認の後、自分の提案が不適格であれば、修正すればよいと考えるのです。

一方で、中国側の担当者にはそのような考えがなく(薄く)、まず、最初から完ぺきなものを作ろうとします。また一度作成したものを修正させると、非常に嫌がる社員が多いのです。実際に顧客側の要求が変わることもありますので、修正がないものを作成するのは現実的に不可能です。ですので、いまは修正することに強い中国人社員を育てたいと考えていますが、なかなかうまくいかないのが現状です。

さらに、修正に強い中国人社員が増えたら、果たして質問が減るのか、その因果関係もいまいち確信が持てておりません。

-----Original Message-----

 長い文章ですが、あえて紹介しました。中国オフショア開発を何とか成功させたいという思いと、うまくいかないもどかしさが伝わってくるのではないでしょうか。中国側が手戻りを極端に嫌がることは、筆者も十分に理解しています。中国では仕事の責任範囲が明確なので、一度完成したものを“無償”で作り直すのはしゃくに障るのかもしれません。しかし、会社や担当者によって、さまざまな事情があるようです。また1つ勉強になりました。

教訓

日本向け開発プロセスが成熟すれば、質問数は抑えられる



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