連載
» 2007年03月07日 12時00分 公開

ユーザー企業から見た「ITSS」(6):進化するITSSと人材スキルを見極める新たな動き (1/3)

本連載では、これまでITスキル標準の概要を説明してきたが、今回からは、2回にわたって2006年に発表された新しいITスキル標準バージョン2とUISSについて考えていく。

[島本 栄光,@IT]

 2006年4月、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のITスキル標準センターよりITスキル標準のバージョン2が発表されました。2002年12月のバージョン1発表後、ITスキル標準センターが中心となってさまざまな観点からの見直しや検討を行い、分かりやすさの向上と内容の充実を図った成果といえます。

 一方で、このITスキル標準のバージョンアップ作業と並行する形で、ユーザー企業において情報システムに携わる人材に関するスキルや知識などを、網羅的かつ体系的に整理する動きが、経済産業省を中心に展開されていました。そして、こちらも2006年6月に「情報システムユーザースキル標準(UISS)バージョン1」として公開されました。

 この連載でも再三指摘してきましたが、このUISSはITスキル標準そのものが、ユーザー企業の人材にとっては理解しにくく使いづらい、という課題に対しての答えの1つと考えることができるでしょう。

 というわけで、今回から2回にわたって、この新しいITスキル標準バージョン2とUISSについて考えていきたいと思います。

ITスキル標準バージョン2は、以前と何が変わったのか?

 早速、ITスキル標準バージョン2が、「以前とどう変わったのか?」を見ていきたいと思います。

 まずは、IPAのWebサイトから、ITスキル標準センターのITスキル標準バージョン2の資料がダウンロードできるページに飛んでみましょう。

【ダウンロード】
▼ITスキル標準バージョン2(独立行政法人情報処理推進機構)

 ここでは、ITスキル標準バージョン2に関するありとあらゆる資料がダウンロードでき、閲覧することができます。

 今回バージョン2の公開に伴って、このWebサイトのトップには「ITスキル標準V2の構成」のイメージが示されています。一目見て、ITスキル標準バージョン2の全体の構造が分かるというのは大変良いことだと思います。

 さらにWebサイトを読み進めていくと、公開資料が小分けにされて構造化されており、分かりやすく整理されています。以前のバージョン1では、資料の中身に入る前に「その全体像が分かりにくくとっつきにくい」という批判の声が多くありました。今回は、まず全体の構造をつかむという面で、大きく改善されていると評価できます。

図1:ITスキル標準の全体構成

 次に、ITスキル標準の中身を見ていきましょう。ここでもやはり、いきなり細かい点を見るよりも、まずは全体を把握する必要があります。

 そのためには、「1部概要編」を通して読んでください。これを読むこと、ITスキル標準バージョン2の全体の輪郭をとらえることができます。また、“改訂履歴”として、バージョン1からバージョン2で、どこがどのように具体的に変わったのかを一覧できる表が添付されています。

 以前のバージョン1では、このような形の明確な概要編が用意されていなかったため、理解するのに骨が折れました。今回のこのような措置は、前回の反省に基づいたものと考えられ、非常に良い傾向だと思います。

 詳細については、実際にこの「1部概要編」を読んでいただくのがいいのですが、ここでそのエッセンスを少し説明しておきます。

 “改訂のポイント”は、以下のように「はじめに」に明記されています。

  • 基本構造の明確化:キャリア編とスキル編として構造を明確化
  • ドキュメント構成の体系化:ISO等の国際標準を参照し、体系的に整理
  • 評価基準の明確化:評価指標の位置付けを各レベルのエントリ基準として明確化。理解を深めるための様式記述の変更、および実績回数の明記等、内容を充実
  • スキル項目:一覧的な資料として「スキルディクショナリ」を新設
  • 専門分野:ITアーキテクト、プロジェクトマネジメント、オペレーション職種で専門分野を再定義

 一言でいってしまえば、全体的に構造化と体系化を強く意識した改訂となっています。見る人により分かりやすく、また使いやすいものにしようという努力がうかがえます。さらに、国際的な通用性も視野に入れ、将来の改善や補足に含みを持たせたような構造を目指していることも分かります。

 ITスキル標準に限らず、このような“標準”というものは、今後のビジネス環境や技術動向によって変わっていかなければなりません。この点を意識した標準作りというのは非常に重要です。これまでのバージョン1でも、これらの点はおそらく意識されていたに違いないのですが、利用する人々にその姿勢がなかなか見えてきませんでした。今回、『1部概要編』の冒頭でこのように明記したということは、大きく評価されるべきことだと思います。

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