システム管理者が語るスキルアップ術目指せ! ネット時代の幸せな管理者(5)(2/2 ページ)

» 2007年12月10日 12時00分 公開
[川村 聖一, 仲西 亮子, 山崎 佑司,@IT]
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1日30分、会社で遊べるとしたら何で遊ぶ?
〜遊びにこそスキルアップのヒントあり〜

 1日に30分会社で遊べるとしたら何をしますか? ゲームをするとかおやつを食べるとかの遊びではなく、システム管理者としての遊びは、スキルアップにはとても重要です。業務とは懸け離れていますが、自分の興味あるところに時間を費やしてみるのはいかがでしょうか?

マシンルームへ機器本体を見にいく[仲西]

 機器本体を見ることは障害や故障の前兆を見極めるのにとても有効です。ネットワーク機器であれば、通常のトラフィックをさばき、CPU やメモリの状況に変化がないとリモートで分かっていても、機器本体の前に立てば「ファンの音がおかしいかな?」とか、機器に触れたときに「ちょっと熱くないかな?」など分かることがあります。

 特に故障前には機器自身が何らかのSOSを出していることがあるので、定期的に管理している機器を見に行くことは重要だと思います。

端末で遊ぶ [川村]

 私はIPv6を導入するプロジェクトに関係しています。

 実際のプロジェクト業務には関係ないですが、IPv6を使ってどこまでできるかを遊んでいます(1日30分以上になることもありますが……)。

 Windows VistaやFreeBSDなどの端末を用意して、IPv4をオフにして業務がこなせるかどうかいろいろ試しています。重要なのは結果ではありません。いろんなソフトウェアを探してみたり、設定してみたりするなかで、次の仕事で使えるヒントがもしかしたら得られるかもしれないので、これは重要な時間です。何よりも遊びなので、純粋に楽しめるのがお得です。

自分のサーバで遊ぶ [山崎]

 まず、自分が自由にいじることのできるサーバを用意します(職場環境によっては難しいかもしれませんが、VMWareなどを利用するのも、1つの選択肢だと思います)。

 そこに、業務と関係ある、なしにかかわらず、気になったアプリケーションを次々と入れていきます。実際、私のサーバには、Web関係のサーバアプリに始まり、科学計算をするようなものや、監視ツールなど、さまざまなアプリがインストールされています。インストールするだけで終わっているものも数多いのですが、業務用サーバではないので、興味を持って入れてみる、というのが重要だと思って遊んでいます。

 監視ツールなどは、そこから昇格して業務ツールとして利用しているものもあったりしますし、結果として、筋の良いアプリケーションを見抜く目を養うことにもなっているのかもしれません。

技術力を上げるために気を付けていること
〜身に付いた習慣が技術力を維持する〜

 技術者の皆さんは、技術力を向上させ、維持するために、自然といろいろな習慣を身に付けていることと思います。自分では気付いていない小さな習慣に、技術力向上のカギが隠されているのかもしれません。

お絵描き [川村]

 何か問題にぶち当たった場合、必ず絵を描くようにします。問題でなくても、整理するために絵を描く。可能な限り手書きがいいです。

 PowerPointは時間がかかりすぎる上に、書いている最中に違う思考が生まれてきます。手描きで、データフローやスクリーンイメージ、ネットワーク構成図を描き続けることは、技術の新旧に左右されない、技術問題解決能力を養うために必要だと思います。

イメージすること [仲西]

 頭の中でシミュレーションをしてみることです。ネットワークならサーバがデータからパケットを生成してL2に渡してフレームを生成して物理層をビットが流れてルータがビットを受け取って、フレームヘッダを見て……、と通信の一連の流れをきちんとイメージできることはとても重要です。

 この能力を持てば、障害時に何が発生したのか、どこで発生したのかトルなどを判別するのに役立つと思います。

いろいろなところに首を突っ込む [山崎]

 ちょっと関係ないかな、と思う隣(人、部署、部門)の仕事に口と手を出してみます。もちろん自分の領域の仕事をきちんとこなした上で余裕があれば、ということになりますが。

 自分の仕事だけで大変なのに、という声が聞こえてきそうですが、私は結構いろいろなところに顔を出して、コメントしたり、一緒に考えたり、時には作業をしたりするようにしています。

 そうすることで、視野を広げるのと同時に、新しい技術に対するアンテナ感度を高めるようにしています。

著者紹介

▼著者名 川村 聖一

2001年 日本電気株式会社入社。キャリア営業、法人顧客SEに従事。

2004年 同社ISP部門へ異動。ISPネットワーク設計・構築、新技術導入、ISMS取得に従事。

2006年 NECビッグローブ株式会社へ出向。法人向けアウトソースサービスのコンサルティング・設計・運用を担当。Internet Weekプログラム委員。

2007年 JANOG運営委員として活動。

▼著者名 仲西 亮子

2000年 三井情報開発株式会社(現:三井情報株式会社)入社。

2000年 外資系ISPの技術部へ出向、IPアドレス管理やドメイン名管理業務に従事の後、同社iDCのバックボーン運用業務従事。

2002年 三井情報開発株式会社でiDC事業開始と共に出向解除。同社でASの管理・運用業務に従事。

2005年 同社のiDC事業部がMKIネットワーク・ソリューション株式会社として子会社化。これに伴い、MKIネットワーク・ソリューションズ株式会社へ出向、現在に至る。

2007年 JANOG運営委員として活動。

▼著者名 山崎 佑司

1999年 ソニーシステムデザイン株式会社(現:ソニーグローバルソリューションズ株式会社)入社。ソニー本社をはじめとした、大規模エンタープライズネットワークの設計、構築、運用を担当。

2001年 ソニーグループのショールームや、ソニーグループが主催する各種イベントにおけるネットワークシステムの企画、設計、構築、運営を手掛ける。

2003年 ソニーグループiDCのネットワーク運用業務に従事。データセンターインフラの設計、構築等の業務を行う。

2006年 テオーリアコミュニケーションズ株式会社入社。システムインテグレーション全般を担当する。

2007年 JANOG運営委員として活動。


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