“裏”ノウハウで、IT経営をさらなる高みへ公開! IT経営実践ノウハウ(6)(2/2 ページ)

» 2008年07月08日 12時00分 公開
[齋藤 雅宏,@IT]
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内部統制対応が急務の大企業で適用された業務監視ノウハウ

大企業の適切な内部統制を実現するリアルタイムでの業務監視 〜成功のカギは「業務プロセスのリアルタイム監視ツールを活用したトラブル発生の未然防止」〜

 これは、ある大企業の内部統制プロジェクトに参加したときの話です。

 同社は数年前より、監査法人の指導を受け、社内を挙げて内部統制関連資料を作成していました。しかし、いくらそのような資料を作っても、内部統制絡みのトラブルは減るどころか増える一方でした。

 作成した資料は現状分析結果をドキュメント化したものにすぎず、問題発生時の原因究明には使えるかもしれませんが、作ったからといってトラブルが減るわけではないことは自明でしたので、担当者のモチベーションが上がらないのも当然でした。わたしも途中からそのプロジェクトに参加したのですが、現場では営業担当者に業務フローを書かせるだけで疲弊しており、そこから先のビジョンは何もない状況だったのです。

 そこで、以前わたしが企業間データ連携システムの無人運用を可能にするために開発したFortunistR(トラブル発生事前察知機能付き企業間連携業務監視ツール)を導入してみました。

ALT 図1 トラブル発生事前察知機能付き企業間連携業務監視ツールを導入

 このツールは、業務フローと各業務に関与する人的作業やシステム処理の組み合わせを監視可能なレベルで区分・設定し、それぞれが事前に設定した閾(しきい)値を超えていないかどうか、常時監視するものです。もし閾値を超えた場合は、自動的に運用関係者に通知することで、トラブルが発生する前に未然に防ぐことを可能にするもので、とても簡単な仕組みです。

 この仕組みを活用して、内部統制上監視すべき項目を上図画面のようにマトリックス化してリアルタイムに見える化することで、何らかのインシデントの発生があってもそれを芽のうちに摘み取り、大きな問題に発展させないという未然防止策の具現化が可能になりました。


 これで、本連載は終了となります。この連載はいわば「ノウハウ編」といえるものですが、以前より編集部の方から「ノウハウ編の後は実践編で」とのお話をいただいており、次の展開を考えていました。

 そこへIT経営実践ノウハウを活かして未公開株(Private Equity)投資事業に参画しないかというオファーをいただいたことから、しばしそれに注力することにしました。しばらくは、そちらの現場にどっぷり漬かって実践ノウハウを蓄積し、ある程度実践ノウハウが蓄積できた段階で、連載が再開できればと思っております。

 わたしが商社マンだったころ、諸先輩から「グローバル市場で闘うには、ビジネスマインド、ビジネスノウハウ、英語が必須だ」といわれましたが、いまわたしがその立場なら「それらに加えて、IT経営実践ノウハウが必須」というでしょう。

 IT経営を実践している人間が仕事の垣根を越えて頑張っている姿を示すことで、この業界で働いてみたいという人が増えることを本気で望んでいます。「そうか。IT経営実践ノウハウを身に付ければ、こんなキャリアが実現できるのか!」といってもらえるように……。

 また、お会いしましょう。

著者紹介

▼著者名 齋藤 雅宏(さいとう まさひろ)

ライト・ハンド株式会社

1992年に三菱商事(株)に入社し、システム開発部に配属される。数百万ステップ規模の会計系基幹システムの開発・保守に従事。その後、食品VANの開発、ECサイトの企画・開発、新規事業の立ち上げ、事業投資先の経営支援、内部統制構築など、各種案件を経験する。これらの経験をノウハウ化すべく、2001年10月から2004年3月まで東京工業大学 社会理工学研究科経営工学専攻の非常勤講師に就任し、事業創造論を学部生および院生に指導。2007年、三菱商事(株)退社後は、ベンチャー企業へのハンズオン型経営支援(支援例:(株)クエスト・ワン)を通じて、『IT経営実践』の普及をライフワークとしている。


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