本連載では、現役のインドオフショア開発コンサルタントである筆者が、インドオフショア開発事情や勘所などを紹介する。今回は、その中でもコストについて説明する
本連載はインドのオフショア開発にフォーカスをして、方法論や課題などを紹介していきます。
なお、筆者は主に日本で勤務しているオフショア開発のエンジニアで、インド側と連携して開発を進めています。このように、筆者自身が現役でオフショア開発の現場に携わっていることから、なるべく現場にフォーカスして情報を届けていきたいと思います。
インドオフショアを導入するケースでは、目的はさまざまですが、期待する効果には大きく2つのことが挙げられます。1つは、国内エンジニアリソース不足を補うための人材確保。もう1つは、コスト削減です。今回はコスト面について解説します。
オフショアベンダなどを通じて、日本側の企業が見える単価レンジとしては、以下の価格が一般的です。なお、参考までに現地のエンジニアのサラリーレンジも記載します。
インド側エンジニアの単価レンジですが、プロジェクトマネージャ、プログラマ、コミュニケータ、テスターと役割分担されていることが多いです。
ロール | ロケーション | オフショアベンダ を通した単価/月 |
エンジニアの サラリー/月 |
ブリッジエンジニア (経験年数3〜5年) |
日本 | 70万円〜120万円 | 30万円〜80万円 |
プロジェクトマネージャ (経験年数3〜5年) |
インド | 30万円〜45万円 | 10万円〜30万円 |
プログラマ (経験年数3〜5年) |
インド | 30万円〜45万円 | 6万2500円〜15万円 |
コミュニケータ(翻訳&通訳) (経験年数3〜5年) |
インド | 30万円〜45万円 | 6万2500円〜15万円 |
(注意)1円=2.85インドルピーにて算出 |
インドオフショアを導入する際、人月単価が日本単価に比べて安価なのですが、インドオフショアならではの費用もあります。
インドオフショアでは、基本的にコミュニケーション、ドキュメンテーションは英語で実施するため、翻訳および通訳などの作業が発生してきます。また、オフショアベンダ側はこの費用は、上述したコミュニケータと呼ばれる翻訳&通訳の工数を、見積もりに反映することが多いです。
日本側が日本語で作成した必要最小限のドキュメントはインドに送る前に英語に翻訳しますが、インド側で作成した英語ドキュメントについては、エンドユーザーマニュアルなど以外は英語で管理し、日本語に翻訳しないで翻訳工数を削減するといった企業が増加してきています。
ブリッジエンジニアと呼ばれるオンサイトチームを構築する場合には、オンサイト費用も発生します。なお、ブリッジエンジニアと呼ばれるエンジニアは、バイリンガルであることが多く、一般的な日本人エンジニアより市場価値が高いこともあります(チーム構成などは、別の回で詳しく述べます)。
また、オンサイトチームを形成する際、自ら現地に足を運ぶ場合の交通費なども発生することがあります。これは余談であり、筆者の私見ですが、初めに多少コストは掛かるものの、プロジェクトキックオフ時には短期間であれ、現地に自ら足を運ぶことをお勧めします。ソフト開発も物作りである以上、「現地」「現物」「現場」の3つが基本であると感じるからです。
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