運用管理の未来はどこへ?目指せ! ネット時代の幸せな管理者(15)(2/2 ページ)

» 2009年08月20日 12時00分 公開
[川村 聖一,@IT]
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何でもXML時代

 マイクロソフトのOffice製品のファイル形式の変化を見ても分かるとおり、近年は何でもXMLで表現することが主流となりつつあります。ネットワーク機器でもnetconfというプロトコルを利用し、データをXMLで記述し運用管理を高度化する方向に業界全体として動いています。

 今後、XMLで表現できないツール、装置は次第に減っていくのではと思われます。すでに大手製品ではnetconfを利用した機能が搭載されている状況で(例えばマイクロソフト、ジュニパーネットワークス、シスコシスコシステムズなど、国内ではアラクサラネットワークスなどが力を入れています)、オープンソースでも同様な状況になってきています。

 いままでCSVでデータを保持していたものがXMLになり、そして今後は構成図や文書までもがXML化される時代になるかもしれません。新しくシステムを検討する際には、こうした技術に追随できることを検討項目の1つとして入れた方がよいでしょう。そしてこのXMLこそ、オートメーションの重要な要素の1つとなりそうです。誕生からすでに長い年月を得ていますが、その存在価値が最も発揮される時代がやって来たといってよいのではないでしょうか。

担当者の役割、そして運用管理の未来へ

 これまでのシステム管理担当者は、関連する装置やソフトウェアに関する資格などを保持し、それに付随する技術的な仕組みを理解している必要がありました。そのうえで当然運用管理の実務経験があること。これが、一般的な運用管理者の人材像ではないでしょうか。

 ところが、ここまで述べてきたような変化が起きてくると、担当者、つまり運用管理担当者への要求条件も変化してきます。

 装置、ソフトウェアを直接操作して管理するよりも、システム全体を、どのように管理、操作し、運用していくか、つまり1つ1つのサーバやネットワーク機器を管理する資質だけではなく、スケールアウトするシステムを連動させ、混在するプラットフォームのAPIを利用し、特定のベンダに依存し過ぎないようにオープンソース技術をトレースしていく能力も必要になります。

 これからは、資格を持ち、多少なりの実務経験があればいいのではなく、そのときどきに最も適した技術を操れる力がもっと重要になってきそうです。そして最も大事なのは、システム全体の技術要素をマネジメントできる力です。

 今回は少しだけ先を見据えた話をさせていただきました。実際に、インターネットサービスプロバイダやデータセンターの運用管理は、すでにこのようにシフトしつつあります。

 企業での運用管理も、インターネット関連技術を利用する前提であれば、管理にインターネット利用を前提とするものであれば、これに近い形になっていく可能性が高いと思われます。これからの10年を幸せに過ごす準備をいまから始めてみませんか?

著者紹介

▼著者名 川村 聖一

2001年 日本電気株式会社入社。キャリア営業、法人顧客SEに従事。

2004年 同社ISP部門へ異動。ISPネットワーク設計・構築、新技術導入、ISMS取得に従事。

2006年 NECビッグローブ株式会社へ出向。法人向けアウトソースサービスのコンサルティング・設計・運用を担当。Internet Weekプログラム委員。

2007年 JANOG運営委員として活動。

▼著者名 仲西 亮子

2000年 三井情報開発株式会社(現:三井情報株式会社)入社。

2000年 外資系ISPの技術部へ出向、IPアドレス管理やドメイン名管理業務に従事の後、同社iDCのバックボーン運用業務従事。

2002年 三井情報開発株式会社でiDC事業開始と共に出向解除。同社でASの管理・運用業務に従事。

2005年 同社のiDC事業部がMKIネットワーク・ソリューション株式会社として子会社化。これに伴い、MKIネットワーク・ソリューションズ株式会社へ出向、現在に至る。

2007年 JANOG運営委員として活動。

▼著者名 山崎 佑司

1999年 ソニーシステムデザイン株式会社(現:ソニーグローバルソリューションズ株式会社)入社。ソニー本社をはじめとした、大規模エンタープライズネットワークの設計、構築、運用を担当。

2001年 ソニーグループのショールームや、ソニーグループが主催する各種イベントにおけるネットワークシステムの企画、設計、構築、運営を手掛ける。

2003年 ソニーグループiDCのネットワーク運用業務に従事。データセンターインフラの設計、構築等の業務を行う。

2006年 テオーリアコミュニケーションズ株式会社入社。システムインテグレーション全般を担当する。

2007年 JANOG運営委員として活動。


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