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» 2009年12月27日 12時00分 公開

目指せ!シスアドの達人−第2部 飛躍編(28):そして、次のステージへの旅立ち (3/5)

[山中吉明(シスアド達人倶楽部),@IT]

松嶋からのメッセージ

 東京駅16:33発の成田エクスプレスに飛び乗った坂口は、早速、モバイルPCを立ち上げると、松嶋からのメールを受信した。

 そのメールには、豊若がマキシムを辞める経緯が書かれていた。

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坂口さん

 先ほどは、突然の連絡でびっくりさせてしまいましたね。以下は、私が知っていることのすべてです。

 坂口さんには事実をきちんと理解してもらいたいと思い、正直に書きます。

 先日の打ち上げ会のあと、私はマキシムのCEOから、豊若さんが守秘義務違反を犯したとの苦情が、ホテイビールから来ているという話を聞きました。

 豊若さんがいまのCEOとマキシムを立ち上げたころ、ビール業界での実務経験を買われて、ホテイドリンクのシステムコンサルの仕事を受託しました。当時のホテイドリンクは布袋泰博社長が就任直後で、受託した業務は、親会社からシステムを分離独立させるためのフィット&ギャップ分析でした。その後、実際のシステム開発は大手ベンダが担ったのですが、豊若さんはこのとき受託した業務でホテイビールとホテイドリンクの強みや弱みを知ることになりました。

 昨年、西田副社長からの依頼で豊若さんはサンドラフトの新システムを設計するに当たりベンチマークすべき企業としてホテイドリンクを紹介しました。西田副社長が以前から布袋社長と懇意にしていたことから、話はトントン拍子に進み、両社は好意的に情報交換をするようになったのは坂口さんもご存じのとおりです。

 これは私の憶測なのですが、ひょっとしてサンドラフトとホテイビールは今後何らかの業務提携を計画しているのではないかと思っています。坂口さんなら最新の情報をご存じかもしれませんね。

 ホテイビール内は昨年のユウヒビールとの業務提携交渉の事実が明らかになって以来、改革派と保守派が形成されて混乱していると噂されています。ユウヒビールだけでなく、サンドラフトとの提携交渉を妨害するために、サンドラフトと関係の深い豊若さんがホテイビールの機密情報を故意にサンドラフトに流していると、ホテイビール社内に伝えられているようなのです。その情報をホテイビールの保守派幹部にリークしたのは、サンドラフトの役員の誰かだと聞きました。坂口さんなら見当がつくと思います。でも、その役員の方は、ホテイビールとの業務提携を成功させたくないのか、豊若さんを排除したいだけなのか、真意が私には分かりません。

 ホテイビールからの苦情は、豊若さんにとっては、まったくの濡れ衣なのです。

 今日、突然会社に現れた豊若さんは、マキシムを辞めることを私に教えてくれました。すでにCEOに辞表を提出していて受理されていると。でも、豊若さんは守秘義務に違反した事実はないといっていました。そして、辞表はホテイビールから苦情が来る前から用意していたものであり、守秘義務違反の責任を取って辞めるわけではないといっていました。結果的に、豊若さんがマキシムを辞めることをホテイビールに伝えたことで、苦情の一件は手打ちになったと聞いています。

 豊若さんは、今回のプロジェクトが無事に終わったらマキシムを辞めようと、最初から考えていたのだそうです。今回のアメリカ行きは豊若さんが以前から希望していた仕事に就くことができるようになったためで、やっとそのチャンスが巡ってきたといっていました。豊若さんは学生時代にアメリカに留学経験があって、当時の留学先で出会った方の紹介で、デトロイトにあるコンサルティングファームが日本の製造業に強いコンサルを求めており、契約することができたのだそうです。

 豊若さんは坂口さんに会いたいと思っているはずです。

 いつも豊若さんは坂口さんのことを楽しそうに私に話してくれました。

 私は今日、豊若さんと話をしたとき、坂口さんに直接会ってお別れをいってほしいと伝えました。でも、豊若さんは「坂口に教えられることはすべて教えたよ、だからもう会う必要はないんだ」といっていました。

 でも、私は違うと思います。坂口さんが豊若さんに伝えなくちゃいけないことがあると思うのです。坂口さん、豊若さんにしっかりと伝えてくださいね。

マキシム 松嶋

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 坂口を乗せた成田エクスプレスは、定刻の17時29分に成田空港駅に到着した。

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