
会員制ビジネスやサブスクリプション型のEC事業を展開する企業にとって「顧客・会員の管理」は業務効率と収益の両面のカギを握る重要課題です。しかし会員情報の管理業務は煩雑化しがちで、非効率な方法を続けざるを得ないシーンも多くあります。この課題解決に向け、管理の効率化から会員増や収益増計画、会員対応・サポートなどまで実現できる会員管理システム(CRM)の導入が大きく注目されています。
本記事では、CRMの活用と主な機能、自動化ツールも見越したシステムの具体的な導入方法、得られる効果、選定のポイントを初心者向けに網羅的に解説。併せて、会員管理の効率化に寄与するおすすめCRM製品7選をご紹介します。
機能で比較「CRMシステム」おすすめ製品一覧
目次
会員管理の主な課題|顧客情報の分散、管理業務の煩雑化
近年、会員制ビジネスやサブスクリプション型のEC事業、スクール運営など、多様な業種で「会員管理」の重要性が増しています。しかし、Excelやスプレッドシートを使った「手作業」の多い管理ではデータの重複、情報更新の遅延、退会処理の漏れなど、様々なトラブルが発生しやすくなります。
このような属人的な会員情報管理が限界を迎える中、日々の業務で発生する非効率さやトラブルをどのように解決するとよいのでしょう。以下より各業態で起こりがちな課題に焦点を当て、なぜ今「システム化が急務」なのかを紐解いていきます。
- Excel管理の限界とヒューマンエラーの連鎖
- クレームの多発、クレーム回避/対応力が低い
- デジタル化とデータ活用への大きな壁
Excel管理の限界とヒューマンエラーの連鎖
会員管理の重要性、そして工数が増す中で、Excelやスプレッドシートを使う手作業の管理では、データの重複、情報更新の遅延、退会処理の漏れなど、様々なトラブルが発生しやすくなります。
また、会員の行動履歴や購買履歴を分析し、施策に活かしたいと考えたとしても、情報が分散している/どこに誰が持っているのかも不明なため適切な参照情報が見つからず、実行に移せないケースも少なくありません。
会員制サービスや教育機関でのクレーム多発課題
たとえば、月額制のオンラインフィットネスサービスで、退会申請がメールで届いたものの、手動での処理が遅れて翌月分の課金が発生し、クレームに発展してしまった例があります。
また、セミナーや講座を定期開催している教育機関では、受講履歴や出席情報が紙ベースまたは複数システムにまたがって管理されており、問い合わせ対応のたびに膨大な時間がかかるという課題を抱えています。
EC事業者が抱える配信と分析の壁
メールマーケティングに取り組むEC事業者でも、顧客の購買履歴や関心情報が別システムに保存されていて、適切なセグメント配信ができない、あるいは過去の履歴をもとにしたフォローアップができないといった悩みが日常的に発生しています。
これらの課題は企業の成長を妨げるだけでなく、顧客満足度の低下や解約率の上昇にも直結します。
業務課題を解決する鍵はシステム化
こうした背景から、顧客情報を一元管理し、セグメントごとに適切な対応を自動化する機能で会員管理の効率化をを強力に支援するCRMシステムの導入が注目されています。クラウド/SaaS型のCRMは昨今、大企業はもちろん、コストパフォーマンスの高さをメリットと捉えた中小企業にも広く導入されてきています。
なお、CRMに備わるアクセス解析やログ分析など、運用データを分析・可視化し、業務改善・売上向上に役立てる機能も、「会員管理の効率化」とともに意識すべきものとして検討理由の上位に入ります。
この1ページで解決CRMの主な機能、メリット/デメリット、選定ポイントを徹底解説
会員管理の効率化に寄与するCRMシステムの主な機能
CRM(顧客関係管理システム)に含まれる、もしくはAPI連携可能なシステムを採用することで、会員の行動履歴、問い合わせ履歴、購入履歴などを一括で把握できます。会員管理の効率化に寄与するCRMの機能として例えば以下が挙げられます。
- 顧客データ管理機能
- 顧客サービス機能
- 顧客サポート機能
- 他システム連携機能
- ワークフロー自動化機能
- 顧客対応履歴機能
- カスタマイズ機能
- 顧客セグメンテーション機能
- Webフォーム・マイページ活用による自動登録機能
顧客データ管理機能
会員の氏名・連絡先・会員種別などの基本情報を統合的に管理し、検索・更新も簡単に行えます。会員ごとのマイページ機能とも連携可能です。
顧客サービス機能
ポイント残高、会員ランク、特典管理など、サービス提供に必要なデータをリアルタイムで管理・更新でき、パーソナライズされた体験を支援します。
顧客サポート機能
問い合わせ履歴や対応状況を一元管理し、複数担当者でも情報共有をスムーズに行えるため、対応の属人化を防げます。
ワークフロー自動化機能
会員登録・契約更新・フォローアップ通知などの業務フローをテンプレート化し、自動で処理することで業務負荷を軽減します。
顧客対応履歴機能
通話、メール、チャットなど、すべての接点情報を時系列で保存・閲覧可能。対応ミスを防ぎ、次回対応の品質向上に活用されます。
カスタマイズ機能
業態や運用フローに応じて、画面や入力項目を自由に設定できるため、業務に最適化された環境を構築可能です。
顧客セグメンテーション機能
会員の属性や行動履歴、購買傾向に基づいてグルーピングし、最適なタイミングでアプローチするための分析基盤となります。
Webフォーム・マイページ活用による自動登録機能
会員が自身で情報を入力・更新できる仕組みを整備することで、登録フォームやマイページ経由で常に最新情報を収集・反映できます。チェックイン機能や出席管理も搭載されている製品であれば、イベントや講座の運営にも活用できます。
他システムとの連携機能
既存の決済システム、メール配信ツール、LINE公式アカウントなどとAPI連携することで、退会や契約更新の自動処理、ステップメール送信が可能となります。アクセス解析機能があれば、どの施策が効果的かも把握できます。
会員管理のシステム化で得られる6つの具体的なメリット
- 顧客情報を一元管理できる
- セグメント配信で訴求力が高まる
- 退会や契約管理の工数を削減できる
- LINEやメール配信などの活動を自動化できる
- 会員履歴の可視化で提案精度が向上する
- セキュリティ面で安心して運用できる
顧客情報を一元管理できる
CRMは、複数のツールやスプレッドシートで分散していた情報を一元化し(1つにまとめて)、一括管理できます。情報の検索性や正確性が向上し、問い合わせ時の対応スピードが改善されます。属人化や重複入力の防止にもつながり、業務効率化とサービス品質の安定を実現します。
そして、これまで複数ツールで分散していた情報を統合管理することで、入力ミスや取り違えなどのヒューマンエラーを防止できます。
セグメント配信で訴求力が高まる
CRMには、会員の属性や購買傾向のような特定の条件でセグメント化する機能があります。この情報に基づき、適切なタイミングでメールやLINEなどで配信する付随機能を備える製品も多くあります。ピートが減少している会員に対して限定クーポンを送るなど、個別対応が可能です。
配信結果をアクセス解析で可視化することで、施策の効果も定量的に評価でき、PDCAサイクルを回しやすくなります。
おすすめ 成果を出す「PDCAサイクル」の回し方
退会や契約管理の工数を削減できる
CRMで管理するデータを起点に契約更新や退会処理を自動化することで、対応漏れや重複請求などのトラブルを防げます。対応ログも保存されるため、業務の透明性とトラブル時の追跡性が向上します。
これにより、担当者の確認作業や負担が減り、正確で適切な運用が可能になります。
LINEやメール配信を自動化できる
CRM製品には、会員の行動に応じたフォローアップメールやLINE通知をシナリオ化して設定し、手作業なしで継続的なコミュニケーションを可能にする機能を備えるものも多くあります。
例えば、会員の行動履歴や登録日を基に案内メールやフォロー通知を自動配信できます。「登録1週間後に使い方ガイドを送る」といったシナリオを設定することで会員フォローの対応が自動化され、接点を逃しません。結果として顧客との継続的な関係構築やエンゲージメント向上につながります。
おすすめCRMを活用したメールマーケティングの効果と実践方法
会員履歴の可視化で提案精度が向上する
来店・問い合わせ・購入などの履歴を時系列で確認することで、顧客の関心をより正確に把握できるようになります。これにより、パーソナライズされた提案が可能になり、アップセルやクロスセルの成果にも直結します。さらに、担当者の対応精度や業務効率も向上します。
関連マーケティング用語:アップセル/クロスセルとは何のこと?
セキュリティ面で安心して運用できる
SaaSは製品ベンダーが機能やセキュリティ対策を常に最新の状態に保ってくれるため、多くの場合、自社独自で対策するよりも高い安全性が期待できます。不正アクセスやデータ消失などのリスクにも、プロの体制で迅速に対応できる点が安心です。
また、部門や担当者ごとにアクセス権限を設定する機能があれば情報の閲覧制限や誤操作を防止できます。また、操作ログや変更履歴が自動で記録されるため、不正やミスの原因追跡が容易になります。さらに定期バックアップや障害復旧機能があれば、万が一の際にも迅速な対応も可能です。
会員管理システムの導入時に押さえるべき比較・選定ポイント
- 自社業態と運用フローに合う設計か
- その他ツールとの連携性
- 料金体系と機能のバランス
- サポート体制と導入支援の有無
- UI/UX・操作性の評価
自社業態と運用フローに合う設計か
会員種別や登録経路が多様な業態では、柔軟なカスタマイズ性が重要となります。チェックインや出席管理など特有の機能が必要なケースもあります。
その他ツールとの連携性
既存のSFAや請求管理システム、メール配信ツールとのAPI連携の可否を確認しましょう。
料金体系と機能のバランス
初期費用、月額費用、ユーザー数課金など、コスト構造が自社の予算に見合うかを検討します。
サポート体制と導入支援の有無
操作トレーニングやデータ移行サポートがあるかどうかも、導入初期の成功可否に大きく影響します。
UI/UX・操作性の評価
現場担当者が直感的に操作できるか、スマートフォンからも管理しやすいかなど、日常運用を意識した評価が必要です。
おすすめ「SaaSを導入したが活用できていない」が3割も!? SaaS導入前に考慮しておくべき3つの基本ポイント
おすすめの会員管理システム7選を比較
ここでは会員管理の効率化を目的に「顧客データ管理機能」「顧客サービス機能」「顧客サポート機能」「他システム連携機能」「ワークフロー自動化機能」「顧客対応履歴記録機能」「カスタマイズ可能」「顧客セグメンテーション機能」を備えるおすすめのCRM製品を厳選してご紹介します(製品名 abcあいうえお順/2025年6月時点)。
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