ディスク片面に2層の書き込み層を持ち、DVD-Videoと同じ最大8.5Gバイトの容量のデータを書き込めるDVD-RおよびDVD+Rの技術が昨秋に相次いで発表された。「2004 International CES」の会場では、実際に2層記録に対応したDVDドライブの展示が行われた。
RWプロダクツプロモーションイニシアティブ(RWPPI)のブースでは、パイオニアが2層記録DVD-Rの書き込みに対応したDVD-RWドライブを展示し、実際に対応メディアに2層記録を行い、市販のDVDプレーヤーで再生させるというデモを行った。展示されていた2層記録対応ドライブは、パイオニアが発売している「DVR-A06」という4倍速のDVD-RWドライブをベースとするもの。2層記録DVD-Rに対して2倍速でデータを書き込める。
ライティングソフトはオリジナルのもので、記録層を指定してデータを書き込むことが可能。対応DVD-Rメディアはパイオニアが開発したものだ。
デモではまず約200Mバイトのデータを約100Mバイトずつの2つのデータに分け、それぞれを2層記録DVD-Rの1層ずつに書き込んだ。これをパイオニア製DVDプレーヤー「DV-464」に挿入してみると、まったく問題なく映像が再生された。
用意された映像データは全部で6つのチャプターを持ち、チャプター1−3を第1層(レイヤー0)に、チャプター4−6を第2層(レイヤー1)に書き込んでいたが、どのチャプターの映像もきちんと再生されていた。DVD-Videoとの互換性は非常に高いと考えていいだろう。
パイオニアでは動作検証は自社製DVDプレーヤーでのみ行っており、他社製プレーヤーでの検証はまだ行っていないとのことだが、基本的には大きな問題が出ることはないと考えられるそうだ。
ちなみに、今回展示されていた2層記録対応ドライブは、DVR-A06のハードウェアに一切変更を加えることなく、ファームウェアの変更のみで2層記録への対応を実現している。つまり既存のDVD-R/RWドライブでも、ファームウェアの変更のみで2層記録に対応できる可能性が非常に高いと考えられる。ただし、2層記録規格がまだDVDフォーラムで策定されていないこともあり、今回のデモに利用された2層記録対応ファームウェアの提供は予定されていない。
また、実際に規格策定後でも、ファームウェア変更のみによる既存ドライブの2層記録対応化については、現時点では予定していないという。2層記録DVD-R対応ドライブは、DVDフォーラムでの認証と互換性のチェックを待ち、今年中には発売したいと考えているそうだ。
一方ソニーブースでは、2層記録DVD+Rへの書き込みに対応したDVD+R/RWドライブの展示が行われていた。展示されていたドライブはプロトタイプとされており、発売はまだ未定だそうだが、2層記録DVD+Rメディアに対して2.4倍速でデータを書き込めるという。また、2層記録対応DVD+Rは既存のDVDプレーヤーとの互換性の高さも確認されており、ほとんどのDVDプレーヤーで再生が可能だとしている。
ちなみに今回は対応ドライブのみの展示となり、実際に2層DVD+Rにデータを記録したり、再生するデモなどは行われなかった。しかし、2層DVD+RはDVD+RWアライアンスでの規格策定が完了し、今年前半に2層記録対応ドライブと2層記録対応DVD+Rメディアが発売されるとDVD+RWアライアンスが発表したこともあり、ソニーからも比較的早い時期に対応ドライブが発売されると考えていいだろう。
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