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パイオニアが目論む“プラズマ世界シェアNo.1”(2/2 ページ)

» 2004年02月03日 20時37分 公開
[西坂真人,ITmedia]
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 一方NECも、これまではPDP事業を積極的に推進してきた。

 赤・緑・青3色のカラーフィルターをガラス内に埋め込んでブラウン管に匹敵する画質を可能にしたCCF(Capsulated Color Filter)方式などPDP独自技術の開発や、2001年6月には業界最大(当時)の61インチPDPを発売。2002年10月にはPDP事業を分社化してNECプラズマディスプレイを設立するなど、PDP事業の競争力を強化してきた。

 だが、昨年10月の中期成長戦略で、IT/ネットワーク/半導体の3事業をコア領域として定めてグループリソースをこの3事業に集中させることを発表。NEC内で十分に投資できない事業は、外部資本や他社との提携などを検討していた。

 NECの金杉明信社長は「今回の事業統合は、中期成長戦略の一環。PDP市場はTV向けを中心に大きな伸びが期待されるが、韓国・台湾企業の投資が活発で、業界再編が進んでいる。PDPをコア事業としているパイオニアへの譲渡が、当社のリソースを最大限に活用できる方法と判断した。販売面の補完関係や技術面のシナジー効果も期待できる」と、PDP事業を譲渡するに至った経緯を述べる。

mn_pdp4.jpg NECの金杉明信社長

事業統合でPDPトップシェアへ

 今回の2社の統合によって、PDP生産規模は2005年度には年産110万枚(パイオニア60万枚、NPD50万枚)と業界トップクラスになる予定。2005年度の生産枚数シェアでは22%となり、全世界で1位に踊り出る見込みだ。

mn_pdp5.jpg 2005年度の生産枚数シェア予測。統合後(右)はシェア22%となり全世界トップへ

 技術開発面でも、事業統合の効果は大きい。

 パイオニアはPDPの高輝度・高効率化やTVシステム化/デジタルチューナーといった分野が得意だ。一方、NECはPDPの多面取りや部品(ガラス材料以外)の内製化、CCFなど精密生産技術などを有する。

 「PDPの生産プロセスも非常に類似しているので、両社の最新技術をすぐに生産面に反映できる。知的財産権の譲渡で、特許面でも事業競争力が生まれる。また、パイオニアは民生用ルートが中心だが、NECは業務用に強いため、非効率となる事業重複がない。もっとも大きい意義は、互いの技術者が切磋琢磨して、技術の向上が図れるという点」(パイオニア専務の新島昭氏)

 競争が激化するPDP市場では、生産コストが重要な要素の1つになる。

 「2社の事業統合はコストダウン効果も大きい。スケールメリットによって材料費は低減し、技術総合力の向上でコスト競争力も加速化。また、インチ別の専用ライン化によって効率の高い生産が行えるほか、生産技術力の強化によって歩留まり向上も図れる」(新島氏)

 譲渡の条件や日程など具体的な内容は、今後行われる両社間の話し合いによって決定される見込み。「今年3月末までに契約を終了させる予定。実際の株譲渡は来年度(2005年度)になるかもしれない。なにしろ昨年10月に急浮上した話なので、両社統合後の製品投入時期などもまったく未定」(パイオニア)

mn_pdp6.jpg PDP事業統合で手を取り合う両社。左がNEC金杉明信社長、右がパイオニア伊藤周男社長
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