単体のPCが個人的に使われていた時代から、インターネットの普及によってまったく新しいビジネスが生み出されていった「PCの進化の流れ」でスピーチを始めたパレット氏は、インテルが構想するデジタルホームについて「次の時代はコンシューマデバイスがデジタルコンテンツを扱うようになり、PCの世界が大きく展開する」と、デジカメをはじめとするデジタル家電とPCが融合するホームユースの姿を描いている。
バレット氏は、PCの進化はパーソナルの世界から複雑で優れた総合運用の世界へ広がり、それに伴い有線から無線で接続されるネットワークが広がっていくと述べる。「必要とされている帯域を提供し、そのインフラへ接続することで、ユーザーはロケーションを意識しないでリッチコンテンツを扱えるようになる」
PCの進化は、新しい能力とアプリやデバイスの性能向上を経て次のステップに進むと説くバレット氏。「コンテンツをオンデマンドで入手したり、ネットから購入できるような新しいビジネスモデルが出現する新しい進化は、家電、コンテンツ、ソフトの各業界が協力することで家庭の中から起こる。各業界が世界のトップレベルにある日本にはそのベースが備わっている」と日本には次の進化を活性させる能力が十分備わっていることをアピールした。
「家庭における進化で重要な要素は、エンターテイメントにコミュニケーション、学習、仮想体験。そして、これら要素のために必須の技術基板は、太いパイプであるブロードバント、デジタルデバイスで共有できるデジタルコンテンツ、そしてPCと家電の融合を可能にする相互接続性だ」(バレット氏)
これらの重点要素と必須基板において、「エキサイティングで強い歴史を持っている。さらに安価で高速なブロードバンド環境は世界ダントツ」とバレット氏は日本を持ち上げる一方で、「しかし、日本ではPCを利用する用途が情報の検索など限定的。PCをどう使うかのレベルは米国に比べて半分以下の低いレベル」と評価する。「ネットワーク帯域、PCの高い能力をエンドユーザーにいい形で提供し、日本におけるデジタルユースを加速していくのが日本の課題である」(バレット氏)
インテル取締役共同社長の吉田和正氏がスピーカーとして加わった講演会の後半では、その具体的なデジタルホームの姿をそうそうたるゲストを交えたデモで見せてくれた。オンラインゲーム、ネットからのコンテンツダウンロード、AVサーバであるPCとAV機器を接続したホームネットワークの各種デモで、共通していたメッセージは「PCとデジタル家電のシームレスな相互接続性」。
そこでは「小さなデバイスから大型のスクリーンまで、そのデバイスでもコンテンツを共有できる」(吉田氏)ための共通規格の重要性をアピール。現在その標準規格を策定している「デジタルホーム・ワーキンググループ」によって、2004年の第2四半期にはガイドラインが発表され、そのガイドラインに準拠したデバイスは今年中に発売されることが明らかにされた。
デジタルホーム・ワーキンググループの策定作業では、家庭内のあらゆるデバイスでデジタルコンテンツを共有するために、オーディオ、ビデオのプロトコルを規定しているが、それ以上に重要なのが「知的財産の保護」。「家庭内で利用する権利を議論していかなければならない」と述べるコンテンツの権利保護に関してバレット氏は「家庭内では自由に共有できるようにするが、インターネットなど外部に流すことは認められない。コピー回数制限の考えはデジタルコンテンツの可能性をフルに利用できない」という見解を示した。
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