前編では、NewDIGAエンジンの役割とEPGなどの操作性を検証した。後編では、より長時間録画を可能にした「EP8時間モード」を中心に、画質、ダビング機能、編集機能などをチェックしていきたい。
録画画質に影響を与えるのが、内蔵チューナーやエンコーダー性能だが、部品の共通化が進んでいるためか、DIGAシリーズの場合、グレードを問わず同じ傾向を示すことが多い。高画質化回路だけが例外で、最上位モデル「DRM-E200H」のみゴーストリダクションチューナーを搭載している。
DRM-E85Hも従来のDIGAシリーズの画作りを継承しており、解像度よりも、彩度を少々高めにした見栄え重視。メリハリがあって彩度の高いパイオニア製品、素直な画質の東芝製品などに比べて少々眠い印象も受けるが、大きな破綻はない。
各録画モードを比較してみたところ、地上波であればXPとSPであまり大きな変化を感じなかった。平均ビットレートは倍近い差があるのだが、SP以上は可変ビットレートが有効(XPではあまり機能しない)になること、チューナー部があまり解像度指向でないといった理由によるものと思われる。地上波としては画質の良い生中継(野球中継、ニュース)などを録画して比較しても、XPで録画するメリットはさほど感じなかった。
LPになると、解像度はXPとSPのD1(720×480ドット)からハーフD1(352×480ドット)に変更され、平均ビットレートも2Mbps程度まで抑えられる。このため、エッジが甘くなり、モスキートノイズも目立ち始める。ただしブロックノイズは目立たず、動画としての破綻はない。
ただし、これは再生画質設定が「ノーマル」の場合だ。ここで「ソフト」を選択すると画面輝度がわずかに下がり、細かな情報が失われる代わりに、モスキートノイズはぐっと目立たなくなり、見やすい画面になる。画質にこだわる人でなければ、LPでも十分に実用的だ。
改良が加えられた「スーパーハイブリッドVBR」はどうだろうか。DMR-E85Hでは「アドバンス」と「ノーマル」という2つのモードが用意されているのだが、説明を読んでも「画質改善率とビットレートの関係を定量化した独自のクオリティレート制御」(アドバンスの説明)などといまいち要領を得ない。切り換えて録画してみても目視では簡単には判断できなかった。
ただ、ビットレートを解析すると傾向が変化しているのは事実で、より効率の良い配分が行われているようだ。リアルタイムVBRの場合、たとえばある時間でビットレートを使いすぎると、その後にビットレートを落とさざる得なくなる。これを定量化し,番組全体のクオリティを平均的に向上させることを目指した新しいアルゴリズム、といえそうだ。
なお、DVD-Rへの高速ダビングを行う時、VBRは「ノーマル」に設定しておく必要がある点(DVD-R互換を有効にすると、強制的に設定される)は旧モデルと同じ。ノーマルにしてもVBRが無効になるわけではなく、平均ビットレートをより厳守するようなビットレート割り当てが行われるようだ。
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