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TVnanoに聞く“携帯電話EPG”の便利さ、制限、そして可能性(3/3 ページ)

» 2004年04月06日 16時58分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 しかし、現在のハイブリッドレコーダー市場を見ていると、TVnanoの普及にはいくつかの懸念材料が残されていることもわかる。

 1つには、最近、急激にシェアを伸ばしているソニーが自社サービスを展開していること。同社の「カモン! マイキャスター」では、メール予約はもちろん、ナノ・メディアの「アプリモコン」と同様の機能を持つアプリケーションも公開中だ。競合関係にあるナノ・メディアがサービスに食い込める可能性は低い。

 もう1つは、先日発表された松下の「DIGA」や三菱「ラク録」を見ればわかるように、最新モデルではネット機能が省かれる傾向にあること。ネットワーク機能の有り難さを知る“新しいモノ好き”のアーリーアドプター層には既に行き渡り、ターゲットが一般コンシューマーに移った感があるハイブリッドレコーダー市場。その中にあって、複雑なネットワーク設定を伴い、また数万円単位の価格アップに直接つながるネット対応機能を普及価格帯の製品に拡大していくことは難しい。

 事実、松下の発表会で話を聞いた技術者は「ブロードバンドアダプタは、必ずしも全てのユーザーが使用するものではない。直接、数万円のコストアップに繋がる機能より、販売価格を抑える方向を選んだ」と話していた(関連記事)。アテネオリンピックを控えてレコーダーの買い換えが進む今、新しい「ネット家電」より、安価な「VHSの代替機」が求められる傾向にある。

 「確かに、メーカーの戦略やコストアップが要因になってネット対応機能を省くこともあるだろう。しかし、ネットワークは将来の家電市場を左右するキーワード。逆に、ラインアップから無くなることはないと思う」。

 オリンピック前の駆け込み需要に価格重視のモデルを投入するのはシェア拡大を狙うメーカーとしては当然だが、たとえばDIGAなら、昨年登場したハイエンドモデル「DMR-E200H」は未だ現役であり、後継機には期待できるという。短期的にはマーケティング上の判断でラインアップから外れても、録画機の“ネット対応”は既定路線という考えだ。

 当面の目標は、“3強”と呼ばれる3メーカーをカバーすることだという山崎氏。それも、「製品の発売に合わせてサービスを提供したい」と、松下と同様の協力関係を築くという方向性を示している。さらに、「来年には、国内の有名メーカーすべてに食い込みたい。ソニーは別としても、3強+2社程度が目標だ。実現すれば、レコーダー出荷量の7〜8割でTVnanoのサービスを利用できることになるだろう」。

 もちろんこの数は、普及モデルにもネット対応機能が搭載されることを前提にしたものだ。オリンピック前のシェア争いが一段落したあと、各メーカーがどのようにレコーダーを変えていくのか。その対応が、EPGサービスの成否を握っている。

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