日立製作所は4月12日、反射型液晶パネルの一種であるLCOS(Liquid Crystal on Silicon)を採用した業務用のリアプロジェクションディスプレイ「LCOSマルチディスプレイ」を開発、7月から順次発売すると発表した。同社によると、LCOSを採用した業務用リアプロジェクターの商品化は世界初。
同社はこれまで、透過型液晶を採用した業務用液晶ディスプレイを販売してきたが、「LCOSの開発が進み、商品化できる段階にきた」(同社ユビキタスプラットフォームグループの篠崎雅継COO)ため、順次LCOSに切り替える。業務用リアプロジェクター市場シェア2位の同社は、LCOSの高画質と低コストをアピールし、トップを走る三菱電機を追撃する。
今回発売するのは、70インチの「ES70-116CM」(7月30日発売、1050万円、価格は税込み)と、50インチの「ES50-116CM」(8月31日発売、840万円、同)。4面、8面、16面など複数パネルを連結したマルチディスプレイを構築することを前提としている。
両モデルとも、0.7インチ、1400×1050ピクセル表示のパネルを採用した。コントラスト比は1100:1。従来のLCDタイプよりも画素サイズや画素同士の間隔が狭く、なめらかな映像を再現できるのが特徴だ。RGB各色独立したパネルを採用しているため、色再現性が高いほか、独自の「ピュアブラックストライプスクリーン」を採用して黒浮きを抑えた。応答速度も約12ミリ秒に高速化している。
「高精細なリアプロジェクターは、警察やエネルギー業界を中心とした制御・監視用に利用されており、24時間・365日の安定動作が必須」(篠崎COO)なため、ランプの寿命を感知して自動で交換するランプオートチェンジャーを搭載した。パネルも長寿命化させたほか、偏光板の交換を不要にしてランニングコストも従来の約半分に抑えたという。
同社では、今後2年で国内3000台、海外2000台の計5000台販売する予定で、「業務用リアプロジェクター市場でシェアナンバーワンを目指す」(篠崎COO)。
また、コンシュマー向けリアプロジェクター製品については「コンシュマー向け製品の商品化は担当部で検討していると聞いている。米IntelもリアプロジェクターTV向けLCOSの開発を発表しており(関連記事を参照)、遅れをとらないためにも、年内には参入したい」(デジタルメディア事業部プロジェクタ本部プロジェクタ設計部の木本敏幸担当部長)と語った。
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