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モバイルは二の次の“ぜいたくポータブルDVD”――松下「DVD-LX8」(2/2 ページ)

» 2004年04月19日 15時00分 公開
[西坂真人,ITmedia]
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 これではさすがに心もとない、というユーザーのために、同社ポータブルDVDシリーズ用に用意されている底面装着型のバッテリーパック(DY-DB75、2万6250円)が利用可能。標準バッテリーの約2倍の容量を持つので、標準バッテリーとの併用で約6時間の連続再生が行える(DVD視聴時)。

 ただしシリーズ汎用品なので横幅の大きなDVD-LX8に装着すると左下側が空いてバランスが悪くなってしまうほか、総重量が1.5キロを超えるなどモバイル用途には辛くなる。どうやらバッテリー駆動での利用はDVD-LX8では“二の次、三の次”のようだ。

多彩な再生機能

 再生可能なメディアはDVDビデオ/ビデオCD/音楽CDのほか、DVD-RAM、DVD-R(DVDビデオモードでファイナライズ済み)、ビデオCD、CD-R/RWに記録した音楽データ(MP3/WMA)や静止画(JPEG)、ポータブル機では珍しいDVDオーディオなど、実に多彩なフォーマットに対応。CD-R/RWの記録データを簡単に検索・再生できる「HighMAT(レベル2)」もサポートしている。

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 また本体にはSDメモリーカードスロットを搭載しており、デジカメで撮影したDCF準拠のJPEG静止画、DVカメラ/同社SDマルチカメラ/DIGAなどで撮影したMPEG-4(ASF形式)動画、SDオーディオフォーマットで記録された音楽ファイル(AAC/MP3)の再生が行える。D-SnapやDIGA(DMR-E200H/100H/95H/90H/60H)など、同社SDカード対応製品群を数多く持っているユーザーには便利な機能だ。

photo デジカメで撮影した静止画をSDメモリーカード経由でDVD-LX8で再生できる
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 TVチューナーを装備しており、VHF(1〜12ch)/UHF(13〜62ch)などアナログ地上波やCATVの視聴が可能。簡易受信が行えるアンテナコードが同梱されているが、屋内などではかろうじて見えるといった程度。高画質を求めるなら、外部アンテナ入力端子の利用が必要だ。

photo 同梱のアンテナコードによる簡易TV受信

どんなユーザーが買う?

 今春登場したポータブルDVDの新製品は5万円以下で購入できるものが多い。一方、ポータブルDVDで可能な機能はほとんど載せた感のある“ぜいたく仕様”のDVD-LX8の実売は10万円前後と価格もエグゼクティブだ。しかも、本格的にモバイル用途で使うには実売2万円前後の別売り大容量バッテリーが必須となるが、その際の本体重量はDVD搭載ノートPC並みになってポータブル性が失われる。

 ポータブルDVDらしからぬ高機能&大画面のDVD-LX8を生かすためには“電源が確保できるモバイル環境”――つまり自動車での利用が一番向いていそうだ。

 最近は高機能なDVDカーナビも多いが、DVD-RAM/-Rに録画したTV番組からCD-R/RWに記録したMP3/WMAなど音楽データまで再生でき、さらにSDカード内のデジカメ画像を楽しめるような機種はない。しかも再生画面はカーナビで一般的な7インチ前後より一回り以上大きな9インチワイドだ。同社の高性能カーナビ「Strada」シリーズをも上回るメディア再生機能をマイカーの中に構築できるのがDVD-LX8の強み。またマイカーの中だけでなく、旅行/宿泊先の部屋まで気軽に持ち込めるのもポータブルDVDならではのメリットだ。

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 もちろん、同社DIGAシリーズや東芝RDシリーズなどDVD-RAMメインのDVDレコーダーユーザーが、録画したDVDメディアを寝室など別室で視聴するといった使い方で毎日のようにDVD-LX8をフル活用できる。どこでもコンセントから電源供給できる家の中なら、バッテリー駆動時間の短さも気にならない。チューナー内蔵なので、単なるセカンドTVとしても使える。

 本来、持ち歩くことを前提にしたポータブルDVDで、バッテリー駆動や可搬性よりも、据え置き型DVDプレーヤー並みもしくはそれ以上のスペックを搭載しようという発想は、近年増えてきたデスクトップリプレイスメントノートPCに通じるものがある。PCが広く普及するにあたって登場したこのデスクトップ機並みのノートPCのように、DVD-LX8はポータブルDVD本格普及の幕開けを告げる1台なのかもしれない。

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