“PC向け”オンラインゲーム運営5社がユーザー向けの健康ガイドラインを共同で発表した。背景には、オンラインゲーム市場に進出する家庭用ゲームメーカーと同じ土俵に立つという狙いがあった。台湾に本社があるガマニアデジタルエンターテインメントに、健康ガイドライン発表に至った経緯を聞いた。
昨今ではオンラインゲームに熱中するあまりに健康を害するユーザーも現れている。これに対応する措置として、エヌ・シー・ジャパン、ガマニア、ガンホー、ゲームオン、NHN Japanの5社は4月16日、オンラインゲームを楽しむ上で気を付けるべき基本的な6項目をまとめた健康ガイドラインを各社のWebサイトで公開したと発表した(4月16日の記事参照)。
共同での発表となった背景には、先の5社などが参加する「オンラインゲームフォーラム」の存在がある。各社のトップが集まる月例のオンラインゲームフォーラムでこのガイドラインを定め、昨年12月ごろからそれぞれ掲載を開始、5社の掲載が出そろった段階で発表に踏み切ったという。
その目的は、社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が中心になって家庭用ゲーム機で遊ぶガイドラインを設けたように、まだ未成熟な面の多いオンラインゲーム業界の土台固めをすることだ。
エヌ・シー、ガマニアといった韓国や台湾に本社を置く外資系オンラインゲーム企業が策定した今回のガイドライン、韓国・台湾でも当然あるものと思いきや、「各社がそろって公式に打ち出したのは日本が初めてではないか」とガマニアは話す。
オンラインゲームフォーラムは、オンラインゲーム企業と呼べるような日本企業が存在していなかった2年ほど前から、外資系の企業が情報交換する目的で会合を重ねるうちに、いつのまにか立ち上がっていた組織だという。今でもまだ正式に発足した組織ではなく、「まだ各社が競争する規模ではないオンラインゲーム市場を、協力して成長させる」という考えの下、共同でオンラインゲームをPRする手段を模索している段階だ。
一言にオンラインゲームと言っても、PC用のゲームタイトルと、家庭用ゲーム機で遊ぶタイトルとに分類できる。オンラインゲームフォーラムも設立当初、家庭用ゲームメーカーから参加の打診を受けたが、当時はこの区分を意識してそれを断った。ただし、将来的には家庭用ゲームメーカーも含めた組織にする考えのようだ。
「FINAL FANTASY XI」や「信長の野望 Online」など、PlayStation 2とPCの両方で遊べるタイトルが増えてきている。しかし、これはあくまでPlayStation 2用のタイトルをPCに移植する動きだ。逆にPCから家庭用ゲーム機に向かおうとしても、PCではメモリ容量やグラフィックス性能の上限をさほど気にせず制作できたのに対し、PlayStation 2ではハード性能の制約が大きく、移植は難しいという。
ガマニアはオンラインゲーム市場を成長させるためには、開発元やプラットフォームを問わず、まずはどれだけライトユーザーを取り込めるタイトルが出てくるかが重要になると考えている。
「今はPCと家庭用ゲーム機ですみ分けているが、最終的には家庭用ゲームメーカーと対決することになるのだろう。家庭用ゲーム機では、マルチマッチングサービス『マッチングBB』(MMBB)を活用した『モンスターハンター』(カプコンのオンラインアクションゲーム。ネットに接続しない状態でもゲームをある程度進められ、MMBBを使って知人やほかのユーザーと仲間を組み、オンラインで一緒に遊ぶことができる)がライトユーザーに受け入れられている。このように、ライトユーザーをどうやって取り込むかがPCゲーム企業の課題だと思う」。
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