ITmedia NEWS >

撮影スタイルの“革命”――日立DVDカム「DZ-MV580」レビュー(2/2 ページ)

» 2004年05月06日 05時10分 公開
[西坂真人,ITmedia]
前のページへ 1|2       

“ワイド動画”がメイン、静止画はまだまだオマケ

 搭載CCDは1/3.8インチ有効102万画素で、アスペクト比4:3の動画(約40万画素)のほかに16:9のワイド動画(約53万画素)も撮影できる。CCDエリアを縮小する従来のレターボックス式ワイド動画ではなく、CCDエリアを約33%拡大するスクィーズエリア記録方式を採用しているため、高画質のワイド撮影が行えるのがポイントだ。余裕あるCCDエリアを生かした電子式手ブレ補正機能を装備しており、ワイド撮影時も縦横の手ブレをしっかりと補正する。

photo

 評価用の動画は、DZ-MV580の機能を十分に生かせるDVD-RAM方式で16:9のワイド動画を中心に撮影を実施。画面の上下を切っただけで画質が劣化してしまう従来方式とは異なり、高画質な16:9画面を積極的に使った撮影は、いつもよりフレーミングにも気を使うなどちょっとした映画監督気分になれる。映像を映すTV側も16:9がメインになってきているので、ビデオカメラのワイド化も当然の流れだろう。

photo 16:9ワイドで撮影(XTRAモード動画をキャプチャ)
photo

 DVD-RAMには静止画も記録できる(最大1998枚)のだが、DZ-MV580は静止画専用のSDメモリーカードスロットも搭載。最大1280×960ピクセルの静止画をSDメモリーカード内に記録できる。

photo スロットはDVDディスク挿入部のフタ、本体右側のグリップする右手のひら下にある

 画質はというと「メガピクセルCCDのビデオカメラで撮る静止画なんて、こんなもんだよ」と言われればそれまでだが、デジカメのレビューを数多くこなしてきた筆者には、やはり不満点が数多く目立つ。この静止画の記録先がDVDメディアだけならまだ“オマケ機能”なんだと納得できるが、わざわざSDメモリーカードスロットまで設けているだけに画質もつい期待したくなるのだ。

photo SDメモリーカード内に撮影した静止画
photo DVD-RAM内に撮影した静止画

 さらに動画から静止画の切り替えも遅く、再生時の静止画コマ送りが1枚当たり7秒以上もかかるなどレスポンスも非常に悪い。インデックスの表示スピードは静止画/動画ともに速いだけに惜しまれる部分だ。

まだまだ発展途上?だが期待も大きいDVDカム

 使い勝手や便利さを一度体験してしまうと、テープメディアには戻れなくなるほどの魅力を持ったDVDカムだが、ビデオレコーダーがテープからDVDへと急速に置き換わっているように、今後はビデオカメラも“DVDカム全盛時代”が到来するのだろうか。

 そのターニングポイントとなるのは「本体サイズ」「画質」「メディア価格」だろう。

 DZ-MV580の本体サイズは64(幅)×89(高さ)×146(奥行き)ミリで重さが585グラム(撮影時)。DVDカムとしてモデルチェンジを重ねるごとに小型軽量になってきてはいるものの、手のひらサイズが多いDV方式のビデオカメラから比べるとまだ一回り大きい。

photo

 8センチのDVD記録メディアを使う以上、高さや奥行きが80ミリ以下になることはないが、MiniDVよりはるかに薄いメディアだけに幅のシェイプアップには大いに期待したいところ。また、従来のビデオカメラ然としたデザインも一新し、DVDメディアのカタチをもっと生かした斬新なデザインもアリなのではないだろうか。

photo DZ-MV580には交換できる3色(クロムメッキ/ガンメタリック/ダークブルー)のレンズカバーを標準装備して簡単に本体イメージを変えられるようになっているが、もっと斬新なデザインも期待したい

 画質に関してはMPEG-2方式を採用する限りメディア容量を考えると大幅な向上は期待できないが、MPEG-4(DivX)など高圧縮な別方式の採用でDV方式にも負けない画質で長時間撮影できる製品が登場するかもしれない。もっともDZ-MV580は、専用の高画質映像処理回路(Woooプロセッサー)などの搭載により、現在でも使い勝手の便利さを考えれば納得できる範囲の画質に仕上がっている。

 問題は、8センチDVD-RAMメディアの価格だろう。

 MiniDV(60分)が1本500円以下で購入できるのに対して、8センチDVD-RAMメディアは1600〜2000円前後もする。12センチDVD-RAMメディアが700〜800円前後で買えることからも、8センチの割高感は否めない。

photo

 DZ-MV580の実売は10万〜11万円前後と価格もこなれてきたが、低価格化が激しいビデオカメラの中ではまだ高級機だ。だが、同様に低価格化が進んでいたビデオデッキの世界で、高単価なDVDレコーダーはその便利さからしっかりと市民権を得た。ビデオ撮影のスタイルを大幅に変える可能性を秘めたDVDカムにも大いに期待したい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.