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» 2004年05月18日 14時53分 公開

「世界最大」の秘密は“高分子”と“インクジェット技術”――エプソン、40インチ有機EL(2/2 ページ)

[西坂真人,ITmedia]
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 一方、発光材料に“高分子タイプ”を使ったものはインクジェット方式などの印刷法で製造できるため、高精細で大画面の有機ELディスプレイを作れるというメリットがある。2001年のCEATECでソニーがお披露目した13型タイプや、東芝松下ディスプレイテクノロジーが2002年のEDEXで参考出展した17型ワイドタイプといった大画面の有機ELディスプレイは、みな高分子タイプを採用していた。

 この高分子タイプの有機ELディスプレイ開発に以前から積極的だったのがセイコーエプソンなのだ。

 同社はプリンターなどで培ったインクジェット方式による成膜技術を使って、2001年10月のCEATECで初めて高分子系有機ELを披露。2003年には、有機ELでは当時世界最高レベルの解像度であった130ppiの2.1インチ高分子系有機ELを参考出展し、今年のEDEXでは有機ELとしては大画面となる12.5インチの高分子系パネルを展示した

photo 今回の発表会では、EDEXで紹介した12.5インチも展示

 今回の有機ELディスプレイ試作機も、高分子タイプの有機材料と同社独自のインクジェット技術を融合させることで40インチという圧倒的な大画面を可能にした。

photo インクジェット技術によるオンデマンドプリンティングのイメージ

 「エプソンのインクジェット技術は熱を加えないマイクロピエゾヘッド方式なので、熱の影響を気にせずさまざまな有機材料を使うことができる。パターンニングも、プリンターの世界ですでに1200×820ミリの大面積や2880dpiという高精細の実績がある。またインクジェット方式なら、必要な画素にだけ有機材料を吐出するオンデマンドプリンティングが可能で、効率的に(高価な)有機材料を使うことができる」(飯野氏)

課題は“寿命”

 インクジェット方式で大画面化が可能な高分子系有機材料はいいことずくめのようだが、高分子タイプの大きな課題として“寿命”の問題がある。高分子系有機材料のほとんどは酸素や湿気(水分)に弱いため、封止(外部空気から遮断する)技術を向上させていくことで寿命を延ばしてきた。

 「有機材料の開発や封止技術の向上などで、寿命は日を追うごとに延びている。今回の試作機は1000〜2000時間だが、現在でも5000〜1万時間はすぐに実現できるレベル。製品化を予定している2007年には、寿命も実用段階(1万時間以上)にきているだろう」(飯野氏)

エプソンが目論む“テレビ事業”

 同社のこれまでのディスプレイ事業は、低温ポリシリコンTFTやMD-TFD(Mobile Digital-Thin Film Diode)など小型液晶ディ数プレイが中心で、携帯電話/PDA/デジカメ/ビデオカメラなどモバイル機器向けに展開してきた。だが今年2月には、同社独自の高温ポリシリコンTFT液晶パネル(HTPS)を使ったリアプロジェクションテレビ(リアプロ)「Livingstation」シリーズを販売して家庭用テレビ事業にも本格参入している。

photo

 「40インチ以下はOLED(有機ELディスプレイ)でカバーしていき、40インチ以上はリアプロジェクションテレビ、モバイル機器向けには低温ポリシリコンTFT液晶やMD-TFDというラインアップで、あらゆる画面サイズをカバーしていく。リアプロの新製品は今月末に国内で発表する予定。テレビ事業はエプソンブランドでの展開と他社へのデバイス供給という2本立てで考えている。家電メーカーとは違う、PC系のアプローチでテレビに入っていくなど“エプソンらしさ”を出していきたい」(同社副社長兼CTOの花岡清二氏)

photo 同社副社長兼CTOの花岡清二氏
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