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JASRAC、過去最高の徴収額を記録――“Winnyはピストル”と京都府警を支持

» 2004年05月19日 21時25分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 JASRAC(日本音楽著作権協会)は2003年度の事業報告を行い、2003年度の使用料徴収金額や、著作権管理への取り組みなどについて説明した。

 使用料などの著作権料徴収額は約1094億円で、これは過去最高。昨今のCD売り上げ不振にもかかわらず、前年に対し3.2%の増収となった。

 その理由について協会では、CDからの徴収額は約282億円(前年度比91.6%)と減収だったものの、DVDの売り上げ増加やマイク一体型カラオケ機器のヒット、着メロデータ配信などネットワーク経由での配信が好調だったためと説明している。

 「日本経済が回復基調にあると言われており、CDの販売も回復しつつある。DVDの売り上げも堅調だ」(協会理事長の吉田茂氏)。同氏はさらにそれ以外の成果として、「国際間の著作権管理充実に向けた取り組み」「ネットワーク上の著作権管理の充実」「違法行為に対しての厳格な姿勢」の3点を挙げた。

 なかでもネットワーク上の著作権管理については積極的な動きを見せており、今年中には演奏会や録音、映像、出版における利用許諾手続きをオンラインで行えるように整備を進めるほか、著作物の映像配信サービスなどにも積極的に関与していく。

 協会ではネットワークを利用して著作権物を配信することを「インタラクティブ配信」と称しており、着メロ・着うた・PCへの音楽配信などはここに分類される(通信カラオケは別分類)。インタラクティブ配信の2003年度使用料徴収額は、約82億円と全体の7.5%に留まっているが、「今後の伸びが期待できる分野」と協会も期待を寄せている。

 しかし、映像配信についてはその歴史が浅いことから使用料金(料率)が決定しておらず、JASRACは料金を徴収していない。協会では関係団体との協議を進め、秋口までには料率を確定させ、著作権使用料が明確な映像配信の仕組み作りを目指す。

 “違法行為への対処”については、大学内での違法ファイル交換について大学側へ対処を求める書簡を送付したほか、プロバイダ責任制限法に基づくプロバイダへの送信停止措置を5万6000以上のファイルについて行い、一定以上の成果を挙げたという。

 質疑応答では、開発者が逮捕されて話題となったWinnyについても言及された。

 常務理事の加藤衛氏は、ファイル交換ソフトがCDの売り上げに関して何らかの影響を与えているという認識を示しながら、「ソフトに罪はないが、その行為が違法であれば処罰されるべき」「Winnyはピストル。犯罪行為が立件されるならという前提がつくが、京都府警の対応は支持する」と述べ、ネットワーク上での著作権侵害行為について断固たる姿勢を取ることを改めて強調した。

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