VAIO PCのうち、この夏モデル以降全機種に関係する新しいソフトウェアが「Do VAIO」だ。VAIOという名称は、今まで製品のシリーズ名だったわけだが、“VAIO第2章”以降は「行為を表わす言葉になる」という。すなわち「VAIOする」という使い方をしていきたい、ということだそうで、その「VAIOするとは何か」の答が、Do VAIOというソフトウェアであり、それが提供するソリューションであるというロジックになる。
すでにテレビではCMも流れており、「Do VAIO」という言葉のアピールは展開され始めているが、んじゃあそれってどういうことなの? という訴求はまだこれからだ。今回はこのDo VAIOとはどういうものか、またそれが目指すものみたいなことを考えてみたい。
筆者は基本的に、誉められるのが大好きだ。いや、まあ誰でもそうだと思うが。ホントはそういう意味じゃないんだけど、向こうが勝手に感知がしてくれて、「小寺さんすごい」ということになったら、特に弁解もせずにっこり笑って誉められるまましている、ズルい部分を持った人間なのである。ま、ちっとぐらいいいじゃないか、こんなオモテでモノ書いてると、誉められることは少ないんだから。
以前このコラムで執筆し、物議を醸し出した「コクーン敗れたり?」という記事がある。いや今度はその物議の話ではない。このまとめの部分に筆者は、「コクーンとバイオの両者を一気に救う、『隠し玉』」がなにかあると見るべきだろう。」と書いた。さらに「バイオブランドのMedia Center PCが有り得るのか」とも書いている。
そしてこの記事が出た週、ちょうどうまい具合に「スゴ録」の発表があったため、このまとめはスゴ録の出現を予見したものとして捉えられ、「小寺信良やるな」という話になった。
だが、ホント言うとそれは違うのである。あのとき筆者が登場を予見していたのは、実はDo VAIOだったのだ。いや当時はもちろんそんな名前になるとは知るよしもないが、米国市場で盛り上がってきたMediaCenterPC対抗として、以前から同じようなことをやっているバイオ部隊が黙ってるはずはなく、MediaCenterPCライクな機能を年末にかけて載せてくるだろう、そしてそれがコクーンを救うだろう、という意味で書いたのである。
だが実際には、バイオ部隊には脅威として映ったMediaCenterPCが、日本市場では「ニセバイオ」ぐらいにしか映らなかった。同時にDVDドライブを搭載したスゴ録とPSXの躍進で、そんなにしゃかりきになってコクーンとバイオを組み合わせる必要もなくなってきた。これによってMediaCenterPC対抗プロジェクトには、若干の時間的余裕ができたはずである。
同時にその「ニセバイオ」という捉えられ方から、今までのバイオの方向性にも自信も付き、それがVAIO第2章のテーマ、「バイオする」という考え方の後押しになったのではないか、と想像する。
Do VAIOとは、映像や音楽をまとめて扱うためのGUIである。起動すれば画面トリキリで起動し、リモコンですべてを操作できる。現象だけを見れば、MediaCenterPCが実現したものに近い。
だが実は、映像と音楽をコントロールするために、OSの上に専用GUIを被せるという発想は、ずっと以前にバイオでは既に実現していたのである。1996年ニューヨークで開催されたPC EXPOにおいて、初めてVAIOなる製品の米国モデルがお披露目されたとき、映像と音楽を扱うためのユーザーインタフェース「VAIO Space」が搭載されていた。国内でバイオが発売されたのはその翌年であり、「VAIO Space」を搭載したモデルはついに発売されなかったため、その実態はほとんど知られていない。
そう言う意味でDo VAIOの登場は、初期に理想としていたVAIOコンセプトを、今の技術でもう一度実現するという動きなのである。人間の想像力に、ようやくテクノロジーが追いついた瞬間、ここにわれわれは立ち会っていることになる。
Do VAIOのGUIをパッと見ると、雰囲気としてPSXのGUIを連想する人も多いだろう。もちろん同じ社内の製品であるから、プラスにしろマイナスにしろ、影響がまったくゼロではないはずだ。だがインタフェースとしては、見た目ほど両者は似ていない。
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