さて、上空から見下ろす“目”を手に入れたSKYSHIPだが、キャプテンの夢はそこで終わらない。何年か後にはカメラをデジタル化し、コントロール信号を含めた形で“より遠く”にまで映像を送る手段を検討しているという。しかも、これは単にコントローラとSKYSHIPの通信距離が長くなるという意味ではない。
「5年くらい先になるとは思いますが、たとえばBluetoothのような通信手段が玩具に組み込めるような価格になったら使いたいですね。そうすれば、携帯電話やパソコンとつなげることもできる」。
パソコンや携帯電話と繋がれば、プログラミングや遠隔操作といった新しい楽しみ方も生まれる。もちろん、その先にあるインターネットとの接続も容易だ。
「たとえば、SKYSHIPにテレビとマイクを載せてインターネットにつなぎます。単身赴任のお父さんが自宅の飛行船を操作すれば、まるで家の中にいるように動き回りながら、家族とコミュニケーションをとることができるでしょう。また、ガードマンの代わりにもなるかもしれません。ロボットは階段が苦手ですが、SKYSHIPなら問題ないですから」。
こうした用途については、既に大学などと共同研究を進めており、また通信事業者とも話す機会を持っているという。しかし、こうなるともう単なる玩具ではない、立派な実用飛行船だ。近い将来、そんなパーソナルな飛行船が生活を変えることになるのだろうか。
さらにキャプテンは「こんな夢もあります」と言いながら、一枚の企画書を見せてくれた。書類は、同社が毎年2回実施している「タカラの宝アイデア発表会」のエントリー用紙だ。この発表会は、タカラ社員なら誰でも参加できるもので、自分が製品化したい玩具や夢の玩具を語り合う場になっている。
そこにキャプテンが提出したのは……「Q-SKYSHIP」。全長約12メートル。電気モーターと可変式ファクトファン、可変ノズルを搭載し、人間を乗せて飛行可能な小型飛行船だった。
「『チョロQ』を実物にして、一人乗りの電気自動車にしたのが『Q-CAR』です。同じように『SKYSHIP』を一人乗りの飛行船にできたら面白そうでしょ?」。
航空法などの規制が厳しい日本では、飛行船を移動手段として使うのは難しいが、「スカイスポーツ」向けなら市場はあるという。もちろん、今のところは“夢”の域を出ていないアイデアだが、Q-CARの先例もあるタカラだけに、あながち可能性がないとも言い切れないだろう。
企画書には、こんな言葉が添えられている。
「今こそタカラが『日本初の飛行船製造メーカー』になれるチャンスなのです! 冗談と思わず、一度ご検討下さい」。
是非、ご検討を。
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